ムーンライトえちご

ムーンライトえちご：首都圏と新潟を結んだ夜行快速の軌跡

「ムーンライトえちご」は、かつて東日本旅客鉄道（JR東日本）が新宿駅 - 新潟駅間を、山手線・東北本線・高崎線・上越線・信越本線経由で運行していた夜行快速列車です。2009年3月14日のダイヤ改正以降は臨時列車となり、2014年6月以降は残念ながら設定されていません。

特筆すべきは、各地に登場した「ムーンライト」シリーズの元祖とも言える存在であることです。

概要

首都圏と新潟都市圏を結ぶ役割を担い、2013年1月のダイヤ改正で大阪駅発着の夜行急行「きたぐに」が廃止された後は、新潟駅を発着する唯一の夜行列車でした。青春18きっぷが利用可能な期間には、首都圏と新潟県間の移動だけでなく、北陸3県や東北地方の日本海側、さらには北海道を目指す旅行者にも重宝されました。

2009年3月14日のダイヤ改正で臨時列車化され、2014年3月には臨時運行も終了。その後、臨時快速「えちご春の夜空号」が後継列車として運行されましたが、1ヶ月限定で終了し、2015年以降は設定されていません。

運行概況

主に長期連休、お盆休み、年末年始などに1往復運行されていました。夜行列車という特性上、高崎駅以北では長岡駅までノンストップ（運転停車はあり）で運行され、その区間では車内消灯サービスが提供されていました。

停車駅

（具体的な停車駅については、詳細な情報が不足しているため割愛します。）

使用車両・編成

バラエティ豊かな車両

1号車の新宿寄り半分はグリーン席でした。K編成の場合、6号車は内装が他の車両と異なり、デッキ部がピンク色、座席モケットが赤（エンジ色）でした。これは6号車が女性専用車両（レディースカー）だったためです。

2014年3月まで運行されたのは、新潟車両センター所属の485系電車K1・2編成（6両編成、国鉄特急色）でした。K編成が検査で使用できない場合は、ATS-Pと車内減光装置を備えたT18編成（国鉄特急色、2008年4月までは上沼垂色）や、リニューアル車の3000番台R26・27編成が使用されました。

2010年3月13日から2012年3月17日までは、幕張車両センター配置の183系マリ31・32編成（旧あずさ色、大宮総合車両センター東大宮センター常駐）が使用されました。この時期はグリーン車の設定がなく、全車が普通車指定席でした。

2003年までは165系が使用され、こちらも全車普通車でした。

沿革

高速バスに対抗

「ムーンライトえちご」のルーツは、1985年に開設され、高い人気を誇った高速バス東京（池袋）- 新潟線に対抗するため、日本国有鉄道新潟鉄道管理局が企画した団体専用快速列車「ムーンライト」でした。

1986年6月30日には、EF64形電気機関車と14系座席客車3両で試験運転を開始。7月31日までの運転で、1日平均193人の利用があり好評だったため、10月と11月にも運転されました。

1987年9月3日：全車普通車の臨時快速列車として、新宿 - 新潟 - 村上間で週末や長期休暇期間中に運行開始。上沼垂電車区所属の165系電車を専用編成とし、グリーン車廃車発生品の座席への交換、シートピッチ拡大、外装変更が施されました。

1988年1月：3両編成の3号車の一部がレディースシートに変更されました。

1988年3月13日：ダイヤ改正で定期列車化。

1989年 - 1995年：臨時列車として、長岡で分割・併合する直江津経由新井発着編成が運行。1989年から1990年の年末年始には、「ムーンライト」号に接続する形で村上 - 酒田間を走る「ムーンライトリレー号」も設定されました。

1996年3月16日：ダイヤ改正で東京 - 大垣間の夜行快速に「ムーンライトながら」の愛称が付いたため、「ムーンライトえちご」に改称。

2002年12月1日：ダイヤ改正で下り列車は新潟止まりに（上り列車は引き続き村上始発）。代替として、新潟で快速村上行に接続するダイヤが組まれ、同一ホームで乗り換えられるように配慮されました。

2003年：3月30日村上発、3月31日新宿発をもって165系電車が老朽化で引退。485系電車6両編成（半室グリーン車付き）に置き換えられ、6号車がレディースカーとなりました。

2004年3月13日：ダイヤ改正で上り列車も新潟発に変更。

2007年3月18日：ダイヤ改正で全席禁煙化。

2008年6月6日：8月30日までの金・土曜日と7月20日に、下り列車のみ小出駅への臨時停車を実施。

2009年3月14日：ダイヤ改正で臨時列車に格下げ。多客期のみの運行となりました。指定席が満席であるにも関わらず、実際には多くの空席がある状態で運行されていたことが指摘されました。

2010年3月13日：ダイヤ改正で、運用が新潟車両センター所属の485系電車から、幕張車両センター所属で大宮総合車両センター東大宮常駐の183系電車（マリ31・32編成）に変更され、グリーン車指定席がなくなりました。

2012年3月17日：ダイヤ改正で、運用が再び新潟車両センター所属の485系電車に戻り、グリーン車指定席が復活。

2014年3月31日：臨時列車としての最後の「ムーンライトえちご」運行日。以降、設定されていません。

2014年4月4日：列車名を「えちご春の夜空号」に変更し、5月3日まで運行されました。

「ムーンライトえちご」は、鉄道ファンや青春18きっぷを利用する人々にとって、忘れられない列車の一つとして記憶されていることでしょう。

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