メアリー・プライン

メアリー・パトナム・プライン：横浜に光を灯した女性宣教師

メアリー・パトナム・プライン（1820年3月31日 - 1885年2月20日）は、横浜共立学園の前身である共立女学校と、共立女子聖書学院の前身である偕成伝道女学校の創設に深く関わった、献身的な女性宣教師です。彼女は横浜の宣教師たちに多大な影響を与え、「日本の母」として深く敬愛されました。

生い立ちと信仰

1820年、メアリーはニューヨーク州オールバニで、父イライシャ・パトナムと母エステル・ジョンソンの間に、11人兄弟の末っ子として生まれました。パトナム家は代々、スコットランド長老派教会の信仰を受け継ぐ家庭でした。12歳で信仰を告白し、オルバニー第一長老教会の会員となります。1838年にはサムエル・プラインと結婚し、彼の先妻の子供5人と、自身が産んだ8人の子供たちと共に生活を始めました。

結婚後、オルバニー第二改革派教会へ転会。この教会は社会奉仕活動に熱心であり、メアリーは日曜学校教師、聖書研究会の主催、婦人厚生施設の設立と運営、南北戦争の支援活動、そして工科学校の設立と運営など、多岐にわたる活動に中心的な役割を果たしました。この教会には、後に日本へ宣教師として派遣されるケイト・M・ヤングマンも所属していました。

日本への献身

1862年2月、夫サムエルが病死すると、メアリーは残された人生を神への奉仕に捧げることを決意します。1869年、J・H・バラが横浜から一時帰国した際、メアリーを訪問。6週間の滞在を通して彼女の活動ぶりを目の当たりにし、横浜における混血児のための養育施設設立の責任者として最適任であると確信し、日本での活動を強く要請しました。

メアリーは、自身が支部副会長を務めていた米国婦人一致外国伝道協会（WUMS）にこの計画を諮ります。その結果、横浜に宣教地を設け、事業を開始することが決定されました。

WUMSの理事会は、ルイーズ・ピアソン、ジュリア・クロスビーの二人を同行者として選び、3人は日本へと向かいました。横浜に到着した3人は、2ヶ月後の8月28日、横浜山手48番地にバラの家屋を借り、「アメリカン・ミッション・ホーム」を設立。プラインは初代総理として、WUMS横浜宣教地とホーム全体の責任者となりました。クリスマスを迎える頃には、18人の子供たちがホームで生活するようになっていました。当初は混血児の保護が中心でしたが、次第に日本人の子供たちも受け入れるようになります。

1872年には、山手212番地へ移転。超教派の伝道会において、WUMSが経営する集会は、あらゆる教派の人々が参加しやすい雰囲気を持っていました。このことが、横浜ユニオン・チャーチや、日本人による最初の教会である日本基督公会の設立へと繋がっていきます。

1873年には、J・H・バラ夫妻と娘2人、小川義綏夫妻と共に、千葉伝道旅行にも参加しました。

帰国と晩年

1875年、日本の気候が体質に合わず、健康を害したプラインは、同年9月にアメリカへ帰国します。後任には、ジュリア・クロスビーが2代目総理として就任しました。

帰国後、静養したプラインはWUMSの副会長として再び活躍し、1882年12月には宣教師として清国（中国）へ赴きます。上海の女学校設立のために尽力しましたが、1884年に脳溢血で倒れ、帰国を余儀なくされました。1885年2月10日、彼女は永眠しました。

メアリー・パトナム・プラインの日本における功績は、教育と福祉の分野で大きな足跡を残しました。彼女の献身的な働きは、今もなお横浜の地で輝き続けています。

参考文献
* 『横浜開港と宣教師たち』

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