メタルIP電話

メタルIP電話とは

メタルIP電話は、NTT東日本とNTT西日本が2024年1月1日から提供を開始した、ツイストペアケーブルを利用した固定電話サービスです。これは、従来の公衆交換電話網（PSTN）を次世代ネットワーク（NGN）へ置き換えるための重要なステップであり、電気通信事業における基礎的電気通信役務として位置づけられています。

サービスの概要

メタルIP電話への移行は、電気通信事業者の電話網設備のみの変更となるため、ユーザーは既存の電話機をそのまま使い続けることができます。また、電話機に電話線から電力を供給する局給電機能も従来通り利用可能です。これは、ユーザーにとって大きな利点であり、移行に伴う新たな機器の購入や設定の手間を省くことができます。

PSTNの設備は2025年頃に維持限界を迎えるとされており、PSTNマイグレーションが行われました。しかし、NTTは次の段階として、老朽化が進みコスト効率が悪化しているメタル設備を、2035年頃を目途に縮退せざるを得ない状況であると公表しています。

契約について

加入電話やINSネットの加入者に対しては、複数回の書面による通知が行われた後、解約の意思表示がない場合は、付加サービスと共に「メタルIP電話（加入電話・INSネット相当）」の契約に自動的に移行されました。この移行に伴い、マイラインは廃止されましたが、事業者識別番号（00XY）を付加した通話サービスは継続されます。

法人契約の場合、マイライン事業者登録の通話区分登録全てがKDDIまたはソフトバンクである場合は、KDDIまたはソフトバンクの法人向け通話サービスに自動移行しました。

料金体系

メタルIP電話の基本的な音声サービスは、基本料を現状維持とし、通話料金を全国均一とすることが特徴です。従来の通話料金の割引サービスは、手続きなしで終了しました。また、公衆電話からの発信については、NTT東西が全国一律の料金を設定します。なお、記載されている通話料金は全て税込です。

提供サービス

事業継続が技術的に困難なサービスや、大幅な値上げが避けられないサービスについては、加入者機器での機能代替やIP網での代替サービスが案内されています。

また、2025年2月1日から固定電話の双方向番号ポータビリティが義務付けられますが、メタルIP電話については技術的な制約から対象外となる見込みです。

技術的な側面

メタルIP電話では、発着信する2者間でIP制御網を国際標準化されたインターフェースで直接接続し、複数事業者間での従量精算機能を簡素化しています。災害時には優先電話が「片方向セッション管理方式」で優先的に取り扱われます。

緊急通報については、回線保留や逆信機能を、モバイル・IP電話発信時と同様に「コールバック」と以下の機能で対応します。

1XY通知機能
転送解除機能
着信拒否解除機能
第三者発着信制限機能
災害時優先接続機能

注意喚起

メタルIP電話への移行においては、契約手続きや加入者宅内工事は不要であり、電話機などもそのまま使えることが周知されています。しかし、悪質な勧誘が行われないよう、消費者庁と電気通信事業者が連携して取り組んでいます。利用者は不審な勧誘には十分注意する必要があります。

関連情報

メタルIP電話に関連する情報として、以下の項目が挙げられます。

電話網：異なる電話網との相互接続に関する情報
FTTx：光ファイバーを用いた高速インターネットサービス

外部リンク

NTT東日本：固定電話（加入電話・INSネット）のIP網移行
* NTT西日本：固定電話（加入電話・INSネット）のIP網移行

もう一度検索