公衆交換電話網

公衆交換電話網（PSTN）とは

公衆交換電話網（Public Switched Telephone Network, PSTN）は、固定[[電話]]回線を基盤とする通信ネットワークです。一般には「公衆網」「公衆回線網」「公衆[[電話]]網」とも呼ばれます。また、別名として「GSTN」（General STN）とも呼ばれることがあります。

PSTNの歴史

PSTNは、技術の進歩とともに大容量化、多機能化が進められてきました。その歴史は、手動交換から自動交換、そしてデジタル化へと大きく変化しています。

手動交換

1870年代後半、電話サービス開始当初は全て手動交換でした。交換手による中継操作が必要だったため、通話までに待ち時間が発生していました。

自動交換

通信需要の増大に対応するため、自動交換が導入されました。

ステップ・バイ・ステップ交換機：1880年代に実用化され、電話加入区域内通話の自動化が進みました。加入者番号を解釈し接続する交換機が導入され、大規模局では4桁、小規模局では3桁の番号が使われました。
クロスバー交換機：1926年にスウェーデンで初めて使用され、市外通話・国際[[電話]]の自動化に利用されました。柔軟な中継回線接続が可能になり、回線の効率的な利用が実現しました。
アナログ電子交換機：1960年代に制御部分がコンピュータ化され、蓄積プログラム方式のアナログ電子交換機が導入されました。これにより、ダイヤルインなど付加機能の提供や、電話料金計算システムとのオンライン接続などが可能になりました。
共通線信号No.6：1968年にITU-Tが勧告した共通線信号No.6は、最大2040回線に対応し、交換可能な情報量を増加させました。

デジタル化と通信の自由化

1980年代後半から、以下の目的でデジタル化が進められました。

通信需要増大への対応
通信機器の信頼性向上
多様なサービス提供
通信自由化への対応

デジタル化により、中継網がデジタル化されたデジタル網、中継網がデジタル交換機で接続された統合デジタル網、加入者機器までデジタル化したサービス総合ディジタル網（ISDN）が登場しました。デジタル化されていない電話網を特にPSTNと区別する場合もあります。

共通線信号No.7：1980年にITU-Tによって勧告された共通線信号No.7は、最大4096回線に対応し、無応答・特定番号転送などの付加サービスを提供可能にしました。

NGN（Next Generation Network）への移行

ATM（Asynchronous Transfer Mode）技術が複雑で実装が難しかったため、Internet Protocol（IP）閉域網を利用したNGNへの移行が進められました。日本では、2025年にPSTNの運用期限が設定されています。

日本の公衆交換電話網構成

NTTグループの公衆交換電話網について説明します。

自動交換化時代のアナログ電話網

加入者線から統括局まで4階層で構成されていました。各局間の回線は、2線式または4線式が使用されていました。

端局（EO）
集中局（TC）
中心局（DC）
統括局（RC）

デジタル化時代の電話網

加入者線、群局（GC）、中継局（ZC）、特定中継局（SZC）の2階層構成となりました。他事業者網との相互接続機能も実現し、柔軟な課金が可能になりました。

群局（GC）
中継局（ZC）
特定中継局（SZC）

県内・県外分割後の電話網

NTT東日本・西日本が県内通信を、NTTコミュニケーションズが県間通信を管理する形に再編されました。既存の交換機は2015年度までに撤去が完了しました。

機器・回線の新設停止と維持限界

電気通信事業法に基づき、ユニバーサルサービスとして加入[[電話]]・公衆[[電話]]・緊急通報が指定されています。2011年4月からは、光IP電話もユニバーサルサービスの対象となりました。PSTN設備の維持にはコストがかかり、2025年には信頼性確保が難しくなる見込みです。

契約数の減少と採算性の悪化

光回線や携帯[[電話]]の普及により、固定[[電話]]の契約数は激減しています。PSTNは赤字が続いており、ユニバーサルサービス基金による補填も十分ではありません。

PSTNのIP網への円滑な移行

2024年1月に、PSTNを廃止し、NGNへ移行するPSTNマイグレーションが実施されました。加入[[電話]]・INSネットの音声通話はメタルIP電話に置き換えられました。

マイライン：廃止。
メタルIP電話：基本料は現状維持、通話料金は全国均一。
公衆[[電話]]：NTT東西が全国一律料金設定。

事業継続が困難なサービスについては、代替サービスが案内されます。

双方向型番号ポータビリティ

緊急通報の回線保留・逆信機能は、モバイル・IP電話発信時と同様の対応となります。

IP-POIビル環境の構築

2021年から2025年にかけて、IP網への切り替えが進められました。メタル電話回線収容装置の維持が課題となっています。

INSネットのPSTNマイグレーションに伴うサービス変更

INSネットもPSTNマイグレーションの影響を受け、2024年1月以降、「ディジタル通信モード」のサービス提供は終了します。代替として、「切替後のINSネット上のデータ通信」が提供されますが、互換性の問題が生じる可能性があります。

まとめ

PSTNは、長年にわたり通信インフラを支えてきた重要なネットワークです。しかし、技術の進化と通信環境の変化により、その役割はIP網へと移行しています。PSTNの歴史と現状を理解することは、今後の通信技術の発展を考える上で重要です。

参考資料

電話網
IC接続
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* 電気通信設備工事担任者

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