メッシニアン

メッシニアン期とメッシニアン塩分危機

メッシニアン期は、中新世後期の地質時代区分の一つで、約724.6万年前から約533.3万年前にかけて存在しました。この時代、地中海において特筆すべき出来事である『メッシニアン塩分危機』が発生しました。

メッシニアン塩分危機とは？

メッシニアン塩分危機とは、約596万年前に発生した、地中海が部分的またはほぼ完全に干上がった地質学的な大事件です。この現象は、地中海を取り巻く地域における広大な岩塩や石膏の地層から明らかになりました。これらの地層は、かつて地中海が存在した地域に、海水が蒸発して残された堆積物であると考えられています。

メッシニアン塩分危機の発見

19世紀、スイスのチャールズ・マイヤーアイマーはシシリー島のメッシーナ地方で、石膏層から中新世後期の化石を発見しました。この発見をきっかけに、この時代の地質時代が「メッシニアン期」と名付けられ、地中海周辺諸国で見られる岩塩や石膏を含む地層が、同時期に形成されたものであることが示唆されました。

その後、1970年代には深海掘削船グローマー・チャレンジャーによる地中海海底の調査が行われました。その結果、広範囲にわたって蒸発によって形成された苦灰岩や石膏の堆積物が発見されました。この発見は、大西洋からの海水流入が途絶え、地中海が一時的に干上がったり、塩分濃度の高い塩湖を形成していたという説を裏付ける強力な証拠となりました。

メッシニアン塩分危機のメカニズム

メッシニアン塩分危機の具体的なメカニズムについては、現在も研究が進められていますが、主要な要因としては、アフリカプレートとユーラシアプレートの衝突による地殻変動が挙げられます。この地殻変動によって、ジブラルタル海峡が閉鎖され、大西洋からの海水流入が遮断されたと考えられています。その結果、地中海の海水は蒸発し続け、徐々に水位が低下。最終的には、ほぼ完全に干上がってしまったと考えられています。

メッシニアン塩分危機の影響

メッシニアン塩分危機は、地中海地域の地形や生態系に大きな影響を与えたと考えられています。干上がった地中海盆地には、広大な塩湖や干潟が形成され、独特の生物が生息していました。また、地殻変動に伴う地震活動や火山活動も活発化した可能性があります。この時代の地質学的変化は、現在の地中海地域の地形や生物分布にも影響を与えていると考えられています。

今後の研究

メッシニアン塩分危機に関する研究は、現在も活発に行われています。海底掘削調査や地層分析、数値シミュレーションなど、様々な手法を用いて、危機の発生メカニズムや影響についてより詳細な解明が目指されています。これらの研究成果は、地球規模の気候変動やプレートテクトニクスに関する理解を深める上で重要な役割を果たすと期待されています。

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