メトリオリンクス

メトリオリンクス (Metriorhynchus)

メトリオリンクスは、約1億5,700万年前から1億5,400万年前の中生代中期から後期ジュラ紀に生息していた絶滅したワニ形上目新鰐類の属です。この種の化石は主にフランスのジュラ紀の地層から発見されています。メトリオリンクスという名称は「程よい寸法の鼻面」という意味を持っています。かつてはイギリスやチリ、アルゼンチンなどからも多くの種が知られていましたが、2021年の時点ではM. brevirostrisのみが有効な種とされています。

形態

かつて知られていた他の種が別の属に分類されたため、メトリオリンクスについては主に吻の部分の化石から推測されています。具体的には、その胴体は長く流線型であり、吻は先端に鼻孔を持つ形で長く伸びています。顎には鋭い円錐形の歯が並び、長い筋肉を有していたことから、顎を大きく開く能力があったと考えられています。また、四肢は鰭のように変化しており、特に後肢の方が大きく発達していました。陸上では這うように移動していたとされています。尾は魚竜に似た形状をしており、尾椎の内側には棘突起が発達して「尾鰭」を形成していました。全体としては装甲が退化し、滑らかな体表によって水中での抵抗を減少させていたとされています。

含まれる種

メトリオリンクス属には、有効な種としてM. geoffroyii（現在はM. brevirostrisと同一視されています）が存在しています。以前は他の種も含まれていましたが、現在はこれらはPurranisaurus属、Suchodus属、Thaloattosuchus属などに分類されるようになりました。

生態

メトリオリンクスは、近縁のゲオサウルスほどではないものの、現代のワニの中でも水中生活に特に適応した種の一つと考えられています。恐らくは産卵時を除いて多くの時間を水中で過ごしていたと思われています。近縁種の化石から明らかになった胃内容物には、アンモナイトや大型魚類など多種多様な水棲生物が含まれており、これらを捕食していたと考えられています。さらに、化石に残された歯形により、メトリオリンクスが史上最大の魚類の一つであるリードシクティスを襲った可能性があることが示唆されています。また、翼竜をも捕食したとの証拠も見つかっていますが、身体に装甲がなかったため、より大型の捕食者の餌食になった可能性も否定できません。

参考文献

• - ティム・ヘインズ、ポール・チェンバーズ『よみがえる恐竜・古生物』椿正晴訳、群馬県立自然史博物館監修、ソフトバンククリエイティブ、2006年。
• - ヘーゼル・リチャードソン、デイビッド・ノーマン監修『恐竜博物図鑑』出田興生訳、新樹社、2005年。

関連項目

• - 絶滅した動物一覧
• - ワニ目
• - 中鰐亜目
• - ダコサウルス
• - ゲオサウルス

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