メノナイト・ブレザレン教会

メノナイト・ブレザレン教会：信仰と迫害の歴史

メノナイト・ブレザレン教会は、19世紀半ば、ロシア帝国におけるメノナイトの一派から生まれたキリスト教の教派です。2020年現在、世界20カ国以上に約45万人の信者が存在し、メノナイト最大の教派としてその規模を誇っています。その歴史は、敬虔主義という宗教運動に深く根ざしており、ロシアにおけるメノナイト共同体の発展と、それに続く迫害と移住の歴史と密接に関連しています。

敬虔主義と教会の形成

メノナイト・ブレザレン教会の起源は、18世紀後半から19世紀前半にかけて隆盛を極めた敬虔主義運動に遡ります。敬虔主義は、形式的な宗教儀式よりも、個人の信仰体験と聖書の研鑽を重視する宗教運動でした。ロシアにおいて、メノナイトの一部の信者たちは、この敬虔主義の影響を受け、より熱心な信仰生活を求めるようになりました。彼らは、悔い改めとイエス・キリストを個人的な救い主として受け入れることを強調し、聖書に基づいた厳格な生活を送ることを重視しました。

1850年代後半、メノナイト内部では、聖餐式への参加資格をめぐる論争が勃発しました。特に、洗礼を受けていない者や、悔い改めの経験のない者の聖餐への参加を巡って議論が激化しました。この論争は、メノナイト内部に亀裂を生じさせ、最終的に1860年、モラヴィア兄弟団の影響も受けて、メノナイト・ブレザレン教会が設立されることになります。彼らは、既存のメノナイト教会が形式主義に陥り、信仰の熱意を失いつつあると感じていました。そのため、主イエス・キリストに従うこと、熱心な祈り、聖書研究を重視する新たな教会の設立を志向したのです。

ロシア革命と世界への拡散

20世紀初頭、ロシア革命によって、メノナイト・ブレザレン教会は大きな危機に直面します。ソビエト政権による宗教弾圧は、彼らを故郷を追われる立場に追い込みました。多くの信者たちは、アメリカ合衆国、カナダ、パラグアイなどへと亡命し、新たな共同体を築き始めます。1930年代には、ソビエト連邦における共産主義政権による迫害はさらに激化し、残された信者たちは中央アジアへの強制移住を余儀なくされます。しかし、スターリン死後、宗教政策がやや緩和されたことで、彼らはようやく公的に認められるようになりました。

日本におけるメノナイト・ブレザレン教会

日本においても、メノナイト・ブレザレン教会は存在しており、「日本メノナイト・ブレザレン教団」として活動しています。彼らは、世界各地のメノナイト・ブレザレン教会と繋がりを持ちながら、日本の社会において独自の活動を展開しています。

参考文献

Toews, John A. (1975). A History of the Mennonite Brethren Church: Pilgrims and Pioneers. Fresno, California: Board of Christian Literature, General Conference of Mennonite Brethren Churches
Smith, C. Henry (1981). Smith's Story of the Mennonites. Newton, Kansas: Faith and Life Press. pp. 277–282. ISBN 0-87303-069-9
『宣教ハンドブック』共立基督教研究所

外部リンク

Mennonite Brethren Churches in Global Anabaptist Mennonite Encyclopedia Online
* The International Community of Mennonite Brethren

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