メリーランド州の歴史

メリーランド州の歴史

メリーランド州の歴史は北アメリカの先住民族が生活していた時代から始まります。1498年にジョン・カボットがこの地域に初めて訪れ、以後数世代にわたってヨーロッパ人による探検と入植が行われることとなります。1745年、イギリス人移民により恒久的な植民地が築かれ、メリーランド州の発展が始まりました。1776年にはアメリカ独立宣言により、メリーランドもアメリカ合衆国の13の植民地の一つとして独立を果たします。特に、南北戦争の際にはメリーランド州は奴隷州であったため、政治的に複雑な局面を迎えましたが、連邦政府に留まり続けました。メリーランドは大西洋側の小さな州でありながらワシントンD.C.を囲む重要な地域で、ボルチモア市は経済的・文化的な中心地です。

コロンブス以前の時代

メリーランド州には、紀元前約1万年に狩猟採集を生業とする先住民族が住んでいたと考えられています。これらの先住民族は、環境の変化に巧みに適応し、鹿などの小動物を狩るために槍や弓矢を利用しました。土器の製造が行われ、農業の開始に伴い、彼らは集落を形成し社会構造を発展させていきます。1600年代初めには、ナンティコーク族やポウハタン族などが主な住民でしたが、ヨーロッパ人による接触後、ほとんどの先住民族は地域から追われていきました。

ヨーロッパ人の探検と植民

最初にメリーランド地域を訪れたヨーロッパ人の一人、ジョバンニ・ダ・ヴェラッツァーノは1524年にチェサピーク湾を探検し、多くの探険者が続きました。1632年、初代ボルティモア男爵ジョージ・カルバートは、メリーランド植民地として知られる地域の勅許を得て、宗教的自由を求めるカトリック教徒のための避難所としての植民地を設立します。1634年、彼の息子レナード・カルバートは、初めての移民集団を率いてメリーランドに上陸し、セントメアリーズ市を建設しました。この地域ではカトリック教徒が多数を占め、1649年にはメリーランド寛容法が制定され、信教の自由が認められました。

アメリカ独立戦争とその後

メリーランド州は独立戦争中、特に東海岸の重要な地域として位置づけられました。南北戦争前夜、州内では北軍と南軍の感情が激しく対立し、ボルチモアでは暴動が発生しました。1861年、メリーランドは北軍に留まり、奴隷解放宣言の適用除外となりました。1864年には、新しい憲法によって奴隷制が違法となり、人権向上の動きが進みました。

20世紀のメリーランド州

20世紀に入ると、メリーランド州は政治・社会の改革が進み、特に女性の権利が求められるようになりました。リッチー知事の下では、政府の効率化が図られ、同時に公民権の問題が深刻化しました。この時期、ボルチモア市では大火が発生し、その後の再建では新たな建築基準が導入されるなど、様々な変化がありました。さらに、第一次世界大戦中には多くの軍事施設が設立され、戦後の経済発展の基盤が築かれました。

メリーランド州の豊かな歴史は、西洋文化の侵入と共に地域の文化や社会がいかに変化してきたのかを示す、重要な事例となっています。多様性に富んだこの州は、今なおそのユニークな歴史を大切にし、多方面での発展を目指しています。

もう一度検索