メルカロード宇治川

メルカロード宇治川商店街：歴史と変遷

神戸市中央区、楠町と下山手通、北長狭通に挟まれた南北に伸びる道路沿いに位置するメルカロード宇治川商店街。その歴史は、地下を流れる宇治川の水路と深く関わっています。この水路は、かつて神戸港まで続いていたのです。

栄華を誇った三つの市場

商店街の基盤は、大きく三つの市場によって支えられていました。

まず、「毎日市場」は、八百屋、肉屋、魚屋、乾物屋、米屋、豆腐屋、雑貨屋、果物屋など、多様な店が軒を連ねる活気あふれるメイン市場でした。次に「楠市場」は、お菓子屋、茶葉屋、肉屋、魚屋、総菜屋、さらにはゲームセンターといった、バラエティ豊かな店舗が魅力でした。そして「公設市場」は、屋内型の市場で、総菜屋、昆布屋、漬物屋、卵屋、服屋、おやつセンターなどが集まっていました。

西側に楠市場、東側に毎日市場、南側に公設市場の入り口があり、年末には各所でしめ縄の屋台が立ち並び、人々の賑わいを見せていました。

昭和42年7月豪雨と時代の転換点

しかし、1967年（昭和42年）の集中豪雨は、商店街に大きな打撃を与えました。多くの店舗が水没し、西側にあった4階建てと2階建ての鉄筋コンクリート構造の建物は倒壊するという甚大な被害を受けました。

昭和中期から後期にかけて最盛期を迎えた商店街でしたが、各地へのスーパーマーケット進出の影響を受け、中心機能であった市場は衰退し始めます。1980年（昭和55年）、スーパーヒロタの開店は、この衰退に拍車をかけました。

再開発と震災の影響

1920年（大正9年）に創設された公設市場は、1990年（平成2年）に「ジョイエール宇治川」として再出発しました。しかし、1995年の阪神・淡路大震災は、商店街に更なる打撃を与え、毎日市場と楠市場は姿を消してしまいました。

耐震基準を満たさなかったジョイエール宇治川は、2019年（令和元年）に一旦閉店し、改装工事を経て2020年（令和2年）に再開しました。これにより、商店街内にはスーパーマーケットが2店舗存在するようになりました。しかし、2023年（令和5年）にはスーパーヒロタが閉店。商店街は新たな転換期を迎えています。

未来への展望

メルカロード宇治川商店街は、長い歴史の中で幾多の困難を乗り越えてきました。豪雨災害、スーパーマーケットの進出、阪神・淡路大震災など、商店街を取り巻く環境は大きく変化してきました。それでもなお、地域住民の生活に根付いた商店街として、その存在感を保ち続けています。今後の発展のためには、地域住民との連携強化、新たな魅力の発掘、そして時代のニーズに対応した柔軟な対応が求められています。 かつての賑わいを取り戻し、新たな活力を生み出すための挑戦は、今まさに始まっていると言えるでしょう。

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