メルセデス・ベンツ・Bクラス

メルセデス・ベンツBクラス：コンパクトで実用的なトールワゴン

メルセデス・ベンツBクラスは、メルセデス・ベンツが展開するCセグメントに属するトールワゴン、またはセミトールワゴン型の乗用車です。ミニバンとコンパクトカーの長所を融合したデザインが特徴で、広い室内空間と優れた実用性が魅力となっています。

Bクラスの歴史と特徴

Bクラスは、Aクラスとプラットフォームを共有する姉妹車種です。Aクラスよりもホイールベースが長く、前輪駆動を採用しています。メルセデス・ベンツはBクラスを「コンパクトスポーツツアラー」と位置付けており、デザイン面では上位モデルであるRクラスとの共通点も見られます。価格帯や用途を考慮すると、Cクラスステーションワゴンに近い車種と言えるでしょう。

当初はアメリカ市場への進出も検討されましたが、為替相場やブランドイメージ維持の観点から、2006年に発売を断念しています。日本市場では、Eクラス、Sクラス、Cクラスに次ぐ人気を誇り、2006年の販売台数は7,189台を記録しました。

Bクラスの特徴として、二重構造フロアを採用している点が挙げられます。この構造は、Bクラスベースの燃料電池車「F-Cell」にも活かされており、AクラスベースのF-Cellよりも高い出力を実現しています。

メルセデス・ベンツは、近年電気自動車や上級モデルへの注力の方針を打ち出しており、その一環として、2025年にAクラスとBクラスの生産を終了することが決定しています。後継車種の計画はないと発表されています。

各世代の特徴

初代（2005年 - 2012年）： 2005年3月にジュネーブショーで発表され、ヨーロッパ、カナダ、そして日本へと販売が拡大しました。日本仕様では1.7Lまたは2.0Lの直4エンジンを搭載し、7速マニュアルモード付きCVTと組み合わされました。安全装備を充実させ、B200ターボには専用のスポーツサスペンションが搭載されていました。2008年には一部改良が行われ、アダプティブブレーキライトが採用されました。

2代目（2011年 - 2019年）： 2011年8月、フランクフルトモーターショーで発表されました。先代モデルのデザインを踏襲しつつ、空気抵抗係数を0.26に低減。新開発のMFAプラットフォームの採用により、乗降性と室内空間が向上しました。安全装備として、レーダー型衝突警告システムやアテンションアシストを標準装備し、トランスミッションには7速デュアルクラッチトランスミッション（7G-DCT）を採用しました。日本市場では、全車にスポーツサスペンションを搭載し、機械式駐車場への入庫を可能にしました。

3代目（2019年 - ）： 2018年10月、パリモーターショーで発表されました。先代モデルと比較して全長が拡大し、Cd値は0.24に向上しました。デザインはキープコンセプトながら、フロント部分は大幅に変更され、大型グリルと尖ったヘッドライトが特徴です。インテリアには、高精細ワイドスクリーンコックピットが全グレードに標準装備されました。安全装備はSクラスと同等の「レーダーセーフティパッケージ」を設定。新世代インフォテインメントシステム「MBUX」を搭載し、AIを用いた音声認識機能が搭載されています。エンジンはガソリンとディーゼルモデルが用意され、ガソリンモデルには1.4L直列4気筒直噴ターボエンジン、ディーゼルモデルには1.5Lまたは2.0L直列4気筒直噴ターボディーゼルエンジンを搭載しています。トランスミッションは、ガソリンモデルに7速DCT、ディーゼルモデルに8速DCTを採用しています。日本市場では、1.4Lガソリンターボと2.0Lディーゼルターボモデルが導入されています。

日本市場での展開

各世代において、日本市場向けに仕様変更や改良が加えられてきました。例えば、2代目では機械式駐車場への入庫を可能にするため、全高を低く抑えたスポーツサスペンションの搭載が実施されています。3代目では、立体駐車場への入庫を可能にするためにメーカーオプションとして「AMGライン」が用意され、安全装備の充実やインフォテインメントシステムの進化も図られています。また、限定車なども販売され、多様なユーザーニーズに対応してきました。

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