メロス楽譜

メロス楽譜は、日本の音楽出版社であり、合唱音楽、特に合唱曲の楽譜や合唱関連書籍の出版に特化しています。東京都合唱連盟の役員を務める西野一雄氏によって、東京都府中市に設立されました。

設立者の西野氏自身が大学時代から男声合唱団で長年歌っていた経験から、出版物の多くは男声合唱曲の楽譜です。中でも、多田武彦の合唱組曲を数多く出版している点が特徴的です。また、「木下杢太郎の詩から」や「藁科」のように、他社から出版されたものの、長らく絶版状態にあった作品の再刊も手がけています。これにより、貴重な合唱作品が再び日の目を見る機会を提供しています。近年では、新しい合唱作品の出版にも力を入れています。

その他、小山順子、中村茂隆、萩原英彦といった作曲家の男声合唱曲や、福永陽一郎、三木稔、皆川達夫による編曲作品も出版しており、男声合唱の世界に貢献しています。

音楽書部門においては、深沢眞二氏著の『なまずの孫』シリーズ（現在3冊）を出版しています。このシリーズは、合唱曲の歌詞（詩）を文学研究者の視点からユニークに解説したもので、合唱音楽愛好家から高い評価を得ています。著者である深沢氏もまた、西野氏と同様に男声合唱の経験が長く、扱われている作品のほとんどが男声合唱曲である点が特徴です。なお、これらの書籍については、出版社名義が「メロス音楽出版」となっています。

2016年、メロス楽譜の事業は株式会社パナムジカに継承されました。これにより、メロス楽譜がこれまで出版してきた楽譜や書籍は、パナムジカを通して引き続き入手可能となっています。パナムジカは、メロス楽譜の理念を受け継ぎ、合唱音楽の普及に努めています。

メロス楽譜は、男声合唱に特化した出版社として、その分野において重要な役割を果たしてきました。絶版作品の復刊や、音楽学的な視点からの楽曲解説など、多岐にわたる貢献は、合唱音楽の発展に大きく寄与したと言えるでしょう。

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