モア・ホット・ロックス

ローリング・ストーンズの代表的コンピレーションアルバム『モア・ホット・ロックス (More Hot Rocks (Big Hits & Fazed Cookies))』は、1972年にアメリカでリリースされました。このアルバムは、1971年に発表され大ヒットを記録した『ホット・ロックス』の成功を受け、プロデューサーのアラン・クラインによって企画された続編と言えるでしょう。

『ホット・ロックス』が主にヒットシングルで構成されていたのに対し、『モア・ホット・ロックス』はアメリカでは未発表だった曲を中心に収録している点が大きな違いです。そのため、ストーンズの楽曲の中でもややマイナーな選曲と言えるかもしれません。しかし、このアルバムには、ストーンズの初期から中期にかけての多彩な魅力が凝縮されており、彼らの音楽遍歴を垣間見ることができる重要な作品となっています。

アルバムジャケットや内袋に使用されている写真は、著名な写真家ゲレッド・マンコヴィッツが1967年に撮影した『ビトウィーン・ザ・バトンズ』のアウトテイク写真です。この写真からも、アルバムの個性的な選曲や雰囲気を窺い知ることができます。

アメリカでのリリース後、『モア・ホット・ロックス』はBillboard 200で9位を記録し、ゴールドアルバムにも輝きました。しかし、イギリスやヨーロッパでは1990年までリリースされず、日本では1989年に初めて発売されました。当初は『ホット・ロックス』と同様に、1枚ずつに分けて販売されていましたが、1997年以降は2枚組セットでの販売が主流となっています。

2002年にはリマスター盤がリリースされ、3曲のボーナストラックが追加収録されました。これらのボーナストラックには、アルバム未収録のレアトラックや、異なるバージョンで収録された楽曲が含まれており、コレクターにとっても魅力的な内容となっています。これらの追加収録によって、アルバム全体の完成度がさらに高まりました。

収録曲は、初期のシングル曲からアルバム未収録の楽曲まで幅広く収録されており、ストーンズの幅広い音楽性を示しています。また、シングルバージョンやアルバムバージョン、ステレオミックスやモノラルミックスなど、様々なバリエーションの楽曲が収録されている点も特徴的です。中には、収録バージョンがリマスターによって変更されたものもあり、アルバムのバージョン違いを比較するのも楽しみ方のひとつと言えるでしょう。特に、『カム・オン』『マネー』『バイ・バイ・ジョニー』『アイ・キャント・ビー・サティスファイド』『ロング・ロング・ホワイル』といった、初期の代表曲がアメリカで初めて収録された点も注目に値します。

『モア・ホット・ロックス』は、単なるコンピレーションアルバムではなく、ストーンズの音楽史を深く掘り下げるための重要な一枚と言えるでしょう。アメリカでのヒット、日本やイギリスでの遅れたリリース、そしてリマスター盤での追加収録など、その歴史的背景も、このアルバムの魅力をさらに深めています。ストーンズのファンはもちろん、ロック音楽ファンにとっても、一度は聴いておきたい名盤と言えるでしょう。

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