ホット・ロックス

ローリング・ストーンズの輝かしいキャリアを凝縮したコンピレーション・アルバム『ホット・ロックス 1964-1971』。1971年のリリース以来、世界中で絶大な人気を誇るこの作品は、アメリカとイギリスでプラチナアルバムを獲得するなど、その商業的成功は目覚ましいものがありました。

このアルバムは、ストーンズがデッカ・レコードに所属していた時代の楽曲を中心に構成されています。ブライアン・ジョーンズ在籍時の名曲が多く収録されている一方で、ジャケット写真にはミック・テイラーが写っているなど、時代をまたいだ作品と言えるでしょう。興味深いことに、ローリング・ストーンズ自身のレーベルからリリースされた「ブラウン・シュガー」と「ワイルド・ホース」も収録されています。これは、これらの曲がデッカ所属時代に制作されたためです。ただし、初回プレス版ではこれらの2曲が誤ってデモ・テイクで収録されてしまい、回収されるというハプニングもありました。

地域によって発売形態が異なっていた点も興味深いです。日本では当初1枚組でリリースされ、アメリカ盤の裏ジャケットが使用されました。その後、CD化にあたり、1986年には『ホット・ロックス 1』と『ホット・ロックス 2』の2枚組で発売されましたが、1990年代に入ると2枚組に戻され、イギリスでも1990年からリリースが開始されました。

アメリカでの成功は特に顕著です。チャート最高位は4位でしたが、驚異の267週間もの間チャートインし続け、2002年までに1200万枚以上のセールスを記録しました。これは、アメリカにおけるストーンズのアルバムの中で最も売れた作品という快挙です。その人気は衰えることなく、2002年には最新リマスター版がSACDで発売されるなど、現在でも高い評価を得ています。

収録曲はストーンズの代表曲ばかり。初期のヒット曲から「サティスファクション」や「ペイント・イット・ブラック」といった時代を超えて愛される名曲、そして「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」や「ホンキー・トンク・ウィメン」といったストーンズ後期を代表する楽曲まで、彼らの音楽的進化を凝縮した選曲となっています。ライブ音源である「ミッドナイト・ランブラー」も収録されており、ストーンズのライブパフォーマンスの迫力も感じ取れます。「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」「ハート・オブ・ストーン」「プレイ・ウィズ・ファイア」「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」「ゲット・オフ・オブ・マイ・クラウド」「マザーズ・リトル・ヘルパー」「19回目の神経衰弱」「アンダー・マイ・サム」「ルビー・チューズデイ」「レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー」「ストリート・ファイティング・マン」「悪魔を憐れむ歌」「ギミー・シェルター」「ユー・キャント・オールウェイズ・ゲット・ワット・ユー・ウォント」など、誰もが一度は耳にしたことがあるであろう名曲が多数収録されています。

『ホット・ロックス 1964-1971』は、単なるベスト盤としてだけでなく、ローリング・ストーンズの歴史と進化、そして彼らの音楽的魅力を余すことなく伝える、まさに決定版と言えるでしょう。このアルバムは、ロック音楽史における重要なマイルストーンとして、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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