モエギタケ科

モエギタケ科 (Strophariaceae) の概要

モエギタケ科は、ハラタケ目の一部で、さまざまなキノコを有する科です。この科には、食用としての価値を持つものも多い一方で、注意が必要な毒を含むニガクリタケも存在します。かつては、幻覚作用を持つシビレタケ属もこの科に分類されていましたが、現在ではヒメノガステル科に再分類されています。ほとんどのモエギタケ科のキノコは半陰性の腐生菌であり、湿気の多い日陰で繁殖する傾向があります。

外見的特徴

モエギタケ科に属するキノコの特徴として、傘の裏側にはヒダがあり、つばやつぼの形状が不明瞭なことが多いです。胞子は大半の種で平滑で、胞子紋は主に暗色で、紫色、黄褐色、黒錆色を含む広範なバリエーションがあります。そのため、同じ系統に属するキノコ同士でも共通点が少ないことが特徴です。また、幼菌の段階ではぬめりのある種が多数存在しますが、これもまた特に共通の特性ではありません。

毒性について

モエギタケ科に属するキノコの毒性については研究が不足していると指摘されていますが、過去には食用とされていたキノコの一種であるP. Spumosa（キナメッムタケ）から、有毒成分であるファシクロールが検出されたとの報告もあります。このことから、モエギタケ科のキノコを扱う際には慎重が求められます。

日本に見られるモエギタケ科の下位分類

モエギタケ亜科 (Stropharioideae)

この亜科には、ウスムラサキヒラタケ属やクリタケ属が含まれます。ウスムラサキヒラタケは亜種がいくつかありますが、日本では観察頻度が低いです。クリタケ属には、食用とされるクリタケと、毒を含むニガクリタケが含まれ、外見は似ているため注意が必要です。ニガクリタケに出会った場合、その苦味から識別できる方法が一般的ですが、命の安全のためには慎重に行動すべきでしょう。

シビレタケ属 (Psilocybe)

日本でよく見られるエトセトラには、シビレタケやヒカゲシビレタケなどがあります。これらは主に幻覚作用が強く、食用としては不適です。シロシビンというアルカロイドを含んでおり、幻覚体験を目的に利用される場合がありますが、日本では法的に規制されているため、採取や栽培は違法となります。

シビレタケ属のキノコは、青く変色することで識別できることがあり、誤食を避けるための基準としても役立ちます。

モエギタケ属 (Stropharia)

モエギタケは特徴的な緑色を持ち、馬や牛の糞に発生することがあります。このため、マジックマッシュルームと混同されることがありますが、シロシビンはほぼ含まれていません。食菌として知られるサケツバタケもこの属に含まれています。

モエギタケの胞子は楕円形で、中心部が少し凹んでおり、胞子紋は紫色系であることが多いです。この属のキノコは、致命的な毒性は有していないと考えられていますが、注意が必要です。

スギタケ亜科 (Pholiotoideae)

スギタケ属には多くの種類のキノコが含まれ、スギ林に特有のものではなく、スギの樹皮に似た鱗片から名付けられました。ナメコやツムタケ類など、数多くの食用キノコが含まれますが、一部には中毒の報告もあるため、慎重に扱わなければなりません。

センボンイチメガサ属 (Kuehneromyces)

センボンイチメガサ属のキノコも日本で観察されますが、センボンイチメガサとクリイロイチメガサがよく見られます。この属のキノコは明確なつばを持ち、特にセンボンイチメガサは猛毒を含むフウセンタケ科のコレラタケと外見が似ているため、注意が必要です。

ヒメスギタケ属 (Phaeomarasmius)

日本では、ヒメスギタケが一種だけ見られ、その外見はささくれ立った茶褐色の鱗片で覆われています。スギタケに似ており、この属のキノコもいくつかの亜属、節に分類されます。

まとめ

モエギタケ科には多様なキノコが存在し、食用と毒性を併せ持つものが多いため、注意が求められます。特に日本で見られる種については、外見上の識別が難しいものもあり、興味のある方は深く理解し適切な知識を持つことが大切です。

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