モザンビーク民族抵抗運動

モザンビーク民族抵抗運動 (RENAMO)

モザンビーク民族抵抗運動（RENAMO）は、モザンビークの主要な政党の一つです。その起源は、ローデシアの白人政権によって設立された反政府武装組織に遡ります。ここでは、RENAMOの設立から和平合意、そして現代における課題までを解説します。

ローデシアによる設立と内戦

1975年にモザンビークが独立すると、モザンビーク解放戦線（FRELIMO）が政権を握り、社会主義政策を採用しました。これに対し、ローデシアの情報機関は、反社会主義的なモザンビーク人を組織し、RENAMOとしてFRELIMO政権を攻撃させました。設立当初、RENAMOは英語名のMNRを名乗り、ローデシア領内の基地からモザンビーク各地の村を襲撃し、学校や病院などのインフラを破壊しました。

ローデシアがジンバブエとして独立すると、RENAMOは南アフリカ共和国からの支援を受けるようになります。南アフリカは、RENAMOの組織としての自立化と現地化を促し、組織はポルトガル語名のRENAMOを使用するようになりました。1982年にはマラウイに秘密基地を設置し、モザンビーク中部から北部に紛争地域を拡大しました。

和平合意と政治参加

東西冷戦の終結とともに、FRELIMOはマルクス・レーニン主義を放棄し、南アフリカもアパルトヘイト政策を廃止しました。これにより、1990年代初頭に和平交渉が開始され、1992年にローマでモザンビーク包括和平協定が調印されました。1994年には初の総選挙が実施され、RENAMOは「政府による独裁専制支配への戦い」を訴えましたが、FRELIMOに敗北しました。しかし、RENAMOはこの選挙結果を受け入れ、政治的な枠組みの中での活動に移行しました。

その後の展開

長年にわたり党首を務めたアフォンソ・ドラカマの死後、オスフォ・モマデが党首に就任しました。モマデは、FRELIMOとの和平交渉を引き継ぎ、2019年に和平協定を締結しました。これにより、内戦終結後も続いていた軍事的対立に終止符が打たれました。しかし、和平に不満を持つ一部の党員が武装蜂起し、小規模なゲリラ戦が発生しました。2019年には反乱軍と同政府との間で和平が締結されましたが、和平に反発する反乱セクトは戦闘を継続しました。2021年、最後のグループがモザンビーク政府に投降し、一応の終結となりました。

RENAMOは、設立当初の反政府武装組織から、和平合意を経て政治的な代表へと姿を変えてきました。しかし、その道のりは長く、多くの困難を伴いました。今後のモザンビークの平和と安定において、RENAMOがどのような役割を果たすのか、注目されます。

参考文献

舩田クラーセンさやか「紛争後モザンビーク社会の課題──村に戻らない人々」『朝倉世界地理講座──アフリカII』池谷和信、武内進一、佐藤廉也編、朝倉書店、2008年4月。
星昭、林晃史『世界現代史13──アフリカ現代史I 総説・南部アフリカ』山川出版社、1978年12月。

関連項目

* モザンビーク内戦

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