モジャくん

モジャくんは、北海道旅客鉄道（JR北海道）が公式に定めるマスコットキャラクターとして知られています。ラテン文字表記ではMojakunとなります。

このユニークなキャラクターは、当時JR北海道のデザインリサーチ室に勤務していた川井弘美氏によってデザインされました。その着想源は、北海道を訪れる道外の人々が抱きがちな、広大で手つかずの自然が持つロマンや、未だ知られぬ神秘性といったイメージを象徴する存在として「雪男」が選ばれたことにあります。JR北海道の広報誌では、「北の大地、北海道のどこかに、もしかすると実在するかもしれない、そんな生き物」として紹介されており、その存在に一層の想像力を掻き立てられます。

キャラクターの名前「モジャくん」は、一般からの公募によって決定されました。多数の応募の中から選ばれた理由としては、「強さと同時に優しさを感じさせ、そして何よりもかわいらしさを備えた響きを持っている」点が挙げられています。

モジャくんの姿は、主にJR北海道の列車の車内で目にすることができます。中でも最も広く知られているのは、乗降口であるドアの開閉時に、戸袋への指挟みや手挟みといった事故防止を促す注意喚起のシールに描かれている場面でしょう。かつては、駅にモジャくんのぬいぐるみが置かれていたり、期間限定でオレンジカードの出張販売コーナーに着ぐるみが登場したりしたこともありましたが、これらの機会は現在では見られなくなり、全体としてモジャくんと出会う機会は以前に比べて減少したと言えます。

しかしながら、モジャくんが完全に姿を消したわけではありません。現在も、利用者のマナー向上を呼びかけるポスターや、お客様からの意見や要望を受け付けるための「グリーンボックス」のデザインに採用されることがあります。また、時には駅構内や旅行センターであるツインクルプラザに掲示されるPOP広告に、かわいらしいイラストとして登場することもあります。このように、初めて世に出てからおよそ30年という長い年月が経過した今も、細々とではありますが、様々な媒体を通じてその存在を示し続けています。

鉄道関連以外でも、JR札幌病院の診察券や、院内で患者さんに渡される薬の袋などにイラストが描かれており、意外な場所でモジャくんの姿を目にすることも可能です。

近年の具体的な登場例としては、線路と道路の両方を走行できる新しい公共交通機関として注目されたデュアル・モード・ビークル（DMV）の試験車両の車体に、システムの名称である「Darwin」のロゴと共に描かれたことが挙げられます。また、2015年に開催されたJR北海道の主要なイベントである苗穂工場一般公開の告知ポスターにも、主要なイラストとして採用され、多くの来場者の目に触れました。

過去には、JR北海道が直営でバス事業を行っていた時期には、バスカードのデザインや、バス車両の乗降口における「ドアの開閉にご注意下さい」という注意喚起シールにもモジャくんが登場していました。しかし、2000年にバス部門がジェイ・アール北海道バスとして分社化されて以降は、JRバス関連においてモジャくんが使用されることはなくなっています。

このように、モジャくんは誕生から30年以上の歴史を持ち、登場する場所や頻度は時代とともに変化しましたが、JR北海道のキャラクターとして、雪男というユニークなモチーフと親しみやすい名前を持ちながら、静かに、しかし着実にその存在感を示し続けています。彼はこれからも、北海道の鉄道や関連施設の片隅で、多くの人々によって密かに見守られていくことでしょう。

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