モズミヨコエビ

モズミヨコエビ（Ampithoe valida）について

モズミヨコエビは、日本の沿岸に分布する小型の甲殻類で、特に太平洋側の関東以南及び日本海側の広範囲で見られる生物です。生息環境には干潟、磯、藻場が含まれ、これらの場所では比較的一般的な種とされています。特にアオサなどの大型藻類の中に多く存在し、旺盛に生育しています。

分布

この種は、アメリカのマサチューセッツ州、ニューハンプシャー州、ニュージャージー州、ジョージア州の太平洋岸、さらに南米ではアルゼンチンとベネズエラ、ヨーロッパではポルトガル、オランダ、フランス、そしてアジアの韓国（済州島）や日本に分布しています。日本では、北海道の渡島半島や本州の日本海岸、九州、瀬戸内海、四国、茨城県、千葉県、神奈川県にまで広がっています。

生態

モズミヨコエビは潮間帯から水深30メートルの潮下帯まで生息し、特に高密度で見つかることが多いです。生息密度は、1平方メートルあたり80～100個体にも達することがあります。また、この時期に抱卵を行い、抱卵したメスはアオサの端を折り返して分泌物で巣を作り、その中で卵を孵化させます。好適な塩分は4.27～31.76‰、水温は18.5～27.5℃です。モズミヨコエビは基本的に藻類や付着生物の間に棲むことが多いですが、必要であれば腹肢を用いて泳ぐことも可能です。

形態

体長はおおよそ10～13ミリメートル、あるいは最大17ミリメートルに達します。オスとメスの間にはあまり大きな差はありませんが、オスは闘争を行うためにやや大型化しやすい特徴があります。体色は鮮緑色や褐色を呈し、全身に色素粒を持つことが特徴です。目は赤色をしています。この種はヒゲナガヨコエビ科に属し、第3尾肢の先端が鉤状に屈曲することや、尾節板の末端に突起を持つことで他のグループと容易に区別されます。また、オスの第1咬脚は亜はさみ状を呈し、特有の形状をしています。

分類

モズミヨコエビは、Ampithoe mitsukuriiやAmpithoe shimizuensisのシノニムとされていることがありますが、これに関しては異論も存在します。

産業への影響

この甲殻類は、養殖アオノリなどの海藻に対して食害を及ぼすことが指摘されています。このため、環境保護や漁業において注意が必要です。

参考文献

さまざまな研究に基づきモズミヨコエビの生態や分布についての情報が得られています。特に、優れた調査によりその生活環境や生態的な役割が明らかになってきており、さらなる研究が期待されています。

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