モズレー準男爵

モズレー準男爵（英語: Mosley Baronetcy）は、イギリスの準男爵位であり、モズレー家に対して過去に3度授与されています。その内訳は、1期目がイングランド準男爵位、2期目と3期目がグレートブリテン準男爵位です。現在まで存続しているのは3期目のグレートブリテン準男爵位（アンコーツのモズレー準男爵）ですが、1980年以降は連合王国貴族爵位であるレイブンズデール男爵位と保持者を同一人物が兼ねています。

歴史

モズレー家は、スタッフォードシャーのウルヴァーハンプトン近郊、モズレー村に起源を持ちます。その歴史は古く、ジョン王の時代にはアーノルド・ド・モズレー(Ernold de Moseley)という人物がこの地に暮らしていた記録が残っています。アーノルドの次男からはランカシャーの支族が生まれ、この支族で最初に記録に登場するのは、エドワード4世の治世下の1465年に現れたジェンキン・モズレー(Jenkyn Moseley)です。

16世紀に入ると、ニコラス・モズレー(1527年頃-1612年)とアンソニー・モズレー(1537年頃-1607年)の兄弟がロンドンで布商人として成功を収めます。兄のニコラスは、[1590年]]にロンドンのシェリフ（代官）に、1599年から1600年にかけてはロンドン市長]を務め、[[1600年にはナイトの称号を授与されました。彼はまた、マンチェスターに邸宅を購入し、一族の勢力拡大に貢献しました。

ニコラスの孫であるエドワード・モズレー(1616–1657)は、[スタッフォードシャー]]のロールストン(Rolleston)とマンチェスターに広大な土地を所有していました。1640年 7月20日には、イングランド準男爵位である「スタッフォード州におけるロールストンのモズレー」[[準男爵]に叙せられました。しかし、イングランド内戦においては王党派として行動したため、1643年のミドルウィッチの戦いで議会軍の捕虜となってしまいます。その後、内戦への不関与を条件に釈放され、共和国政府に罰金を支払うことで没収された財産を取り戻しました。

エドワードの息子である2代[準男爵]]エドワード・モズレー(1637年頃–1665年)は、1660年にランカシャーのハイシェリフ（州長官）を務め、1661年にはハルムの荘園を購入しました。しかし、彼には子供がいなかったため、彼の死とともにロールストンのモズレー準男爵位は消滅しました。彼の財産は相続争いの末、最終的にアンソニー・モズレー(1537年頃-1607年)の曽孫で、アンコーツに土地を所有する[[オズワルド・モズレー]に相続されることとなりました。

オズワルドの息子である[オズワルド・モズレー]は、[1715年]]にスタッフォードシャーのハイシェリフを務め、1720年 6月18日にグレートブリテン準男爵位である「スタッフォード州におけるロールストンのモズレー」準男爵]に叙せられました。初代男爵の死後、長男[オズワルド・モズレー]が2代[[準男爵を、次男ジョン・モズレー(生年不詳-1779)が3代準男爵を継承しましたが、3代準男爵には子供がいなかったため、この準男爵位もまた廃絶しました。

その後、2代[準男爵]]と3代準男爵の又従兄弟にあたるジョン・パーカー・モズレー(1732–1798)が、グレートブリテン準男爵位である「ランカシャー州におけるアンコーツのモズレー」準男爵]に叙せられました。この[[準男爵位が、2018年現在まで彼の男系男子によって継承され、現存しています。

6代準男爵オズワルド・アーノルド・モズレー(1896–1980)は、イギリスファシスト連合の党首として知られています。彼の最初の妻は、初代カーゾン侯ジョージ・カーゾン(1859-1925)の娘シンシア・モズレー(1898年–1933年)でした。カーゾン侯が叙された爵位の一つであるレイブンズデール男爵は、カーゾン侯の2人の娘を特別継承者と規定していました。カーゾン侯の死後、彼の長女(シンシアの姉)メアリー・アイリーン・カーゾン(1896–1966)が2代女男爵を継承し、彼女の死後は、シンシアと6代準男爵の間の長男ニコラス・モズレー(1923-2017)が3代男爵を継承しました。さらに1980年に6代準男爵が死去したことで、7代準男爵位もニコラスが継承し、以降アンコーツの準男爵位はレイブンズデール男爵と継承者を同じくしています。2018年現在の保持者は、第4代レイブンズデール男爵・第8代準男爵ダニエル・モズレーです。

歴代当主

ロールストンのモズレー準男爵 (1640年)

初代準男爵サー・エドワード・モズレー (Sir Edward Mosley, 1616年–1657年)
2代準男爵サー・エドワード・モズレー (Sir Edward Mosley, 1637年頃–1665年)

ロールストンのモズレー準男爵 (1720年)

初代準男爵サー・オズワルド・モズレー (Sir Oswald Mosley, 1674年–1751年)
2代準男爵サー・オズワルド・モズレー (Sir Oswald Mosley, 1705年–1757年)
3代準男爵サー・ジョン・モズレー (Sir John Mosley, 生年不詳-1779年)

アンコーツのモズレー準男爵 (1781年)

初代準男爵サー・ジョン・パーカー・モズレー (Sir John Parker Mosley, 1732年–1798年)
2代準男爵サー・オズワルド・モズレー (Sir Oswald Mosley, 2nd Baronet, 1785年–1871年)
3代準男爵サー・トンマン・モズレー (Sir Tonman Mosley, 1813年–1890年)
4代準男爵サー・オズワルド・モズレー (Sir Oswald Mosley, 1848年–1915年)
5代準男爵サー・オズワルド・モズレー (Sir Oswald Mosley, 1873年–1928年)
6代準男爵サー・オズワルド・アーノルド・モズレー (Sir Oswald Ernald Mosley, 1896年–1980年)
7代準男爵/3代レイブンズデール男爵サー・ニコラス・モズレー (Sir Nicholas Mosley, 1923年–2017年) - 1966年にレイブンズデール男爵
8代準男爵/4代レイブンズデール男爵サー・ダニエル・ニコラス・モズレー (Sir Daniel Nicholas Mosley, 1982年-)

参考文献

* 松村赳、富田虎男『英米史辞典』研究社、2000年。ISBN 978-4767430478。

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