モトリル

モトリル（Motril）：歴史と地中海の恵みあふれるアンダルシアの都市

モトリルは、スペイン・アンダルシア州グラナダ県に位置するムニシピオ（基礎自治体）であり、地中海に面した重要な都市です。その歴史は古く、フェニキア人の植民地を起源とすると言われています。肥沃なモトリル谷を見下ろす場所に市街が広がり、温暖な気候と豊かな土壌を活かした農業が盛んです。

地理と産業

モトリルは、グラナダ県の内陸部に位置しながらも、地中海に面しているという地理的な特徴を持っています。この恵まれた環境から、モトリル谷ではチェリモヤ、アボカド、マンゴー、バナナなどのトロピカルフルーツが栽培されています。また、ビニールハウス栽培も広く行われています。かつてはサトウキビ栽培も盛んでしたが、現在は製紙業が主要な産業となっています。モトリル港は商業港であり、漁港としても機能しており、地域経済を支える重要な拠点です。

歴史

モトリルの起源は明確ではありませんが、古代にはフェニキア人の植民地であったと考えられています。ローマ時代には、大プリニウスやプトレマイオスが「ムルギス（Mulgis）」という地名を記しており、これがモトリルである可能性が指摘されています。グラナダ王国時代には、イスラム教徒によって運河が整備され、サトウキビ栽培の技術が導入されました。

1489年にレコンキスタが完了した際、モトリルは農業、漁業、製糸業が盛んで、2000人以上の人々が暮らす活気ある町でした。当時の町は城壁で囲まれており、4つのモスクやアラブ浴場などがありました。1490年には反キリスト教反乱が起こり、1491年にはグラナダ条約が締結され、イスラム教徒の信仰の自由が認められました。しかし、16世紀にはムデハルの反乱が起こり、その後も反乱や海賊の襲撃など、さまざまな困難に見舞われました。特に1569年から1570年にかけてのモリスコ反乱は、町の人口を激減させる要因となりました。

17世紀には、経済と人口が回復し、1657年にはフェリペ4世によって都市の地位を与えられました。

人口と政治

モトリルの人口は、近年増加傾向にあります。政治面では、自治体首長はアンダルシーア国民党（Partido Popular Andaluz）のルイーサ・マリーア・ガルシーア・チャモーロが務めています。自治体評議員は、アンダルシーア国民党が多数を占めていますが、アンダルシーア社会労働党、PA-EP-And、アンダルシーア統一左翼（IULV-CA）、CAndaも議席を保有しています。

司法行政と姉妹都市

モトリルは、モトリル司法管轄区の中心自治体であり、同管轄区に属しています。また、国際交流も盛んで、アルゼンチンのアルバルドン、イギリスのマープル、スペインのメリージャと姉妹都市提携を結んでいます。

モトリルは、その歴史、地理、文化が織りなす独自の魅力を持つ都市です。地中海の恵みと歴史の足跡が調和した、このアンダルシアの都市は、多くの人々を惹きつけてやみません。

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