モハマッド・ユスフ・カラ

モハマッド・ユスフ・カラ：インドネシアを支えた政治家・実業家

モハマッド・ユスフ・カラ（Muhammad Jusuf Kalla, 1942年5月15日 - ）は、インドネシアの政治家、実業家です。彼は、インドネシアの第10代（2004年 - 2009年）および第12代（2014年 - 2019年）副大統領を務めました。第10代副大統領在任期間中は、ゴルカル党の党首も兼任していました。

生い立ちと青少年期

1942年、南スラウェシ州のワタンポネで、地元の有力な実業家であるハジ・カラの息子として生まれました。母親は伝統的なブギス族の絹織物を販売し、家計を支えていました。17人兄弟の2番目として育ちました。

マカッサルのハサヌディン大学在学中は、スカルノ大統領を失脚させようとするスハルト将軍を支持する学生団体、インドネシア学生行動戦線 (KAMI) の活動に積極的に参加し、南スラウェシ支部長を務めました。また、地方議会議員やゴルカル青年部部長を歴任し、政治家としてのキャリアをスタートさせました。

実業家としての手腕

1967年にハサヌディン大学経済学部を卒業後、疲弊したインドネシア経済の状況下で、家業の NV Hadji Kalla の経営を引き継ぎました。当初は従業員1人という厳しい状況でしたが、カラの経営手腕により、輸出入業からホテル、建設、自動車ディーラー、海運、不動産、通信など多岐にわたる分野に事業を拡大しました。また、子会社を設立し、自ら CEO を務めました。1977年には、フランスの国際ビジネススクール INSEAD を修了しています。

その他の活動

ビジネス界での活躍に加え、様々な団体で活動しました。インドネシア経済学部同窓生連盟 (ISEI) の支部長や、インドネシア商工会議所 (KADIN) の支部長などを務め、マカッサル大学の評議委員会にも名を連ねました。また、アル・マルカズ・モスクを建設し、地元のイスラーム・センターの代表を務めるなど、社会貢献活動にも積極的に取り組みました。

政治家としての道のり

1987年、南スラウェシ地域代表として最高国民協議会 (MPR) 議員に指名され、政界に復帰しました。その後もMPR議員を重ね、1999年にはアブドゥルラフマン・ワヒド大統領の下で通商産業大臣として入閣しました。しかし、ワヒド大統領の解任後、メガワティ政権下で公共福祉担当調整大臣に就任し、スラウェシ島のポソ県で発生した宗教紛争の解決に尽力し、和平合意を成立させました。

副大統領として

スラウェシでの和平プロセスへの貢献で評価を高めたカラは、2004年の正副大統領選で、スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領候補とペアを組み、副大統領候補として当選しました。

ユドヨノ政権下では、ゴルカル党首も務め、国会での支持基盤を強化しました。2009年の大統領選挙には大統領候補として出馬しましたが、落選しました。しかし、2014年の大統領選挙で、ジョコ・ウィドド大統領候補の副大統領候補として再び当選し、2期目の副大統領を務めました。

2022年4月には、日本政府から旭日大綬章を授与されました。

家族

妻のムフィダとの間に5人の子供がいます。

モハマッド・ユスフ・カラは、実業家としての成功、紛争解決への貢献、そして2期にわたる副大統領としての実績を通じて、インドネシア社会に大きな影響を与えた人物です。

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