モバイル・マイクロアーキテクチャ

モバイル・マイクロアーキテクチャ

モバイル・マイクロアーキテクチャは、インテルが開発したマイクロプロセッサのマイクロアーキテクチャです。2003年3月12日に正式発表され、Pentium Mプロセッサとして製品化されました。これは、インテルがノートPC向けCPUに初めて特化させたマイクロアーキテクチャであり、省電力性能と高い処理能力を両立させることを目指した画期的な設計でした。

概要

1990年代末、インテルはAMDとの激しい性能競争にさらされ、プロセッサの消費電力と発熱が深刻な問題となっていました。同時に、Transmetaがx86互換の低消費電力CPU「Crusoe」を発表し、注目を集めていました。当時、次期主力として開発されていたNetBurstマイクロアーキテクチャは、性能競争に特化していたため、モバイル用途には不向きであることが明らかでした。

これらの課題に対応するため、インテルは組織再編を行い、プロセッサの消費電力を低減させることを目的としたモバイル・プラットフォーム事業部を設立しました。プロセッサの開発には、イスラエルのハイファチームが抜擢されました。彼らは、Tillamookから続く実績を買われ、P6マイクロアーキテクチャのPentium IIIを徹底的に分析し、CPUをゼロから設計し直しました。

この新しいマイクロアーキテクチャでは、Micro-OPs FusionやSSE2、4倍速のシステムバスなどの新機構が採用されました。これにより、動作クロックの高いPentium 4-Mよりも高性能を実現しつつ、回路規模を徹底的に最適化することでTDP（熱設計電力）を抑えることに成功しました。さらに、高度なクロックゲーティング技術を導入することで、平均消費電力を大幅に低減しました。

特徴

モバイル・マイクロアーキテクチャには、以下の特徴があります。

Micro-OPs Fusion: 複数のマイクロ命令を融合して実行することで、処理効率を向上させました。
大容量キャッシュ: 効率的なデータアクセスを実現するため、大容量のキャッシュメモリを搭載しました。
積極的なクロックゲーティング: CPUの負荷状況に応じて動作クロックを細かく制御し、消費電力を削減しました。
高効率のシステムバス: CPUとシステム間のデータ転送を効率化し、全体のパフォーマンスを向上させました。

バリエーション

モバイル・マイクロアーキテクチャには、以下の世代と製品があります。

Banias 世代

モバイル向け:
Banias

Dothan 世代

モバイル向け:
Dothan
Stealey

組み込み向け
Tolapai
Canmore

Yonah 世代

サーバー向け:
Sossaman
対応ソケット: Socket M
モバイル向け:
Yonah

脚注

関連項目

P6マイクロアーキテクチャ
* Coreマイクロアーキテクチャ

もう一度検索