Coreマイクロアーキテクチャ

Coreマイクロアーキテクチャの詳細解説

Coreマイクロアーキテクチャは、インテルが開発したマイクロプロセッサの画期的な設計であり、2006年6月26日に発表されました。このアーキテクチャは、従来の高クロック重視からクロック効率を重視するパラダイムシフトを目指して開発され、Intel Core 2プロセッサとして製品化されました。

概要

Coreマイクロアーキテクチャは、従来のCISC（複合命令セットコンピュータ）であるx86命令を、内部でより単純なRISC（縮小命令セットコンピュータ）的な命令（μOPs）に分解することで、処理性能の向上を図りました。この設計思想は、Pentium ProからPentium IIIプロセッサまで続いたP6マイクロ[[アーキテクチャ]]から継承され、当時の半導体製造技術の進歩も背景にありました。

しかし、Pentium 4プロセッサに代表されるNetBurstマイクロアーキテクチャは、さらなる高速化を追求した結果、消費電力と発熱が大きな問題となりました。この問題に対処するため、モバイル向けに開発されたPentium Mは、低消費電力と高い処理性能を両立させ、モバイル分野で成功を収めました。しかし、デスクトップやサーバ向けのNetBurstマイクロアーキテクチャを代替するには不十分でした。そこで、Pentium Mの後継として開発されたのが、Coreマイクロアーキテクチャです。

Coreマイクロアーキテクチャは、高性能と低消費電力の両立を実現し、モバイル、高密度サーバ、デスクトップ、大規模サーバといった、異なるカテゴリに対応できる単一のマイクロアーキテクチャとして発展しました。Intel 3,4 Series、975X Express、965 (963) Express、946 Express、945 Expressなどのチップセットファミリが対応しています。

特徴

Core 2プロセッサには、以下の主要な技術が導入されています。

1. インテル アドバンスト・スマート・キャッシュ：L2キャッシュを複数のコアで共有し、効率的なデータ管理と高速なコヒーレンス制御を実現しました。キャッシュの共有により、データの重複を避け、FSB帯域の無駄を削減しました。
2. インテル スマート・メモリー・アクセス：メインメモリから必要なデータを事前にキャッシュに取り込むことで、メモリアクセスの遅延を低減しました。特に、IPベースのプリフェッチャーは、競合他社に先駆けて搭載されました。
3. インテル アドバンスト・デジタル・メディア・ブースト：SSE演算器を128[[ビット]]幅に拡張し、SIMD演算性能を大幅に向上させました。128[[ビット]]SSE命令を1つのμOPで処理できるため、効率的なデータ処理が可能になりました。
4. インテル ワイド・ダイナミック・エグゼキューション：デコーダ、リネーム/リタイア、命令発行ポートの数を増やし、より多くの命令を並列処理できるようにしました。これにより、x86プロセッサとして初めてクロックあたり4命令の実行を継続的に行うことができるようになりました。
5. インテル インテリジェント・パワー機能：プロセッサの回路を細かく分割して管理し、未使用の区画への電力供給を停止することで、消費電力を削減しました。
6. Intel Dynamic Acceleration：他のコアが低電力状態にある際に、TDP（熱設計電力）の範囲内でクロックを引き上げ、シングルスレッド性能を向上させました。

さらに、モバイル向けのMeromでは、以下の技術が導入されました。

インテル ダイナミック・パワー・コーディネーション：各コアを独立してスリープ状態にすることが可能です。
インテル ダイナミック・バス・パーキング：CPUと連動してチップセットの消費電力を削減します。
ダイナミック・キャッシュ・サイジング機能を備えた拡張版インテル ディーパー・スリープ：キャッシュを利用しないことで、より深いスリープモードに入り、消費電力を削減します。

Penrynでは、トランジスタのゲート絶縁膜にHigh-k材料とメタルゲートを採用し、プロセスルールを45nmに微細化することで、さらなる消費電力の低減と高クロック動作を実現しました。L2キャッシュは最大で6MBに増加し、SSE4や除算性能も向上しました。

性能比較

Core 2は、前世代のPentium 4や競合のAMD Athlon 64と比較して、大幅な性能向上を達成しました。ベンチマークテストでは、同じクロック周波数でもPentium 4を圧倒する性能を示し、ストリーミングSIMD拡張命令セットの強力な能力が実証されました。

製品一覧

Merom世代

デスクトップ向け：Kentsfield、Conroe、Allendale
サーバー向け：Tigerton、Clovertown、Woodcrest、Kentsfield、Conroe
モバイル向け：Merom、Conroe

Penryn世代

デスクトップ向け：Yorkfield、Wolfdale
サーバー向け：Dunnington、Harpertown、Yorkfield、Wolfdale
* モバイル向け：Penryn

Coreマイクロアーキテクチャは、インテルのプロセッサ開発における重要な転換点であり、その後のマイクロアーキテクチャの発展に大きな影響を与えました。

もう一度検索