モリタ (鉄道模型メーカー)

有限会社モリタ

有限会社モリタ（Morita INC.）は、過去に存在した日本の鉄道模型部品メーカーです。群馬県邑楽郡に製造拠点である館林工場を構え、鉄道模型分野以外にも、鋳造技術を活かして釣り具や装身具の製造受託も手掛けていました。

事業概要

鉄道模型事業においては、国内外の鉄道模型メーカー各社からの委託を受け、ホワイトメタル部品、ロストワックス部品、挽物部品といった精密な金属部品の製造を請け負っていました。これらの技術力は同社の強みであり、多くのメーカーの製品にその部品が採用されていました。

自社ブランドの製品としては、主にNゲージスケールのアイテムを展開していました。製品ラインナップは多岐にわたり、特定の車両を再現する貨車キット、車両のディテールアップに欠かせないスポーク車輪やベンチレーターなどの各種パーツ、さらには鉄道車両の標準色を再現した特色塗料なども販売していました。

しかしながら、同社は2019年3月29日をもって事業を終了し、廃業しました。主要な事業であったホワイトメタル鋳造業務については、同社の元従業員が新たに設立した企業によって引き継がれることとなり、モリタが培った技術の一部は現在も活かされています。

主なNゲージ製品の特徴

モリタのNゲージ製品の中でも特に知られているのは、その貨車キットシリーズです。これらのキットの多くは、ホワイトメタル製の車体を特徴としていました。金属ならではの適度な重量感に加え、特に木造貨車の車種においては、一般的なエッチングでは再現が難しい繊細かつリアルな木目模様が表現されている点が大きな特色でした。

また、これらの貨車キットに付属する車輪や車軸は、同社が誇る挽物技術によって製造されたものであり、完全な自社製部品でした。精密な挽物車輪は、滑らかな走行性能やリアルな外観に寄与していました。

具体的な製品としては、ト1形やワム3500形、セラ1形、トキ900形、タキ2000形（関水金属製タキ3000形を基にした製品）、そして珍しいプラスチック成型品のワム480000形など、国鉄時代の様々な貨車が製品化されていました。

貨車キット以外にも、車両の足回りや屋根上を彩る豊富なパーツ類も展開していました。スポーク車輪や穴付きプレート車輪、波打車輪といった多様な車輪製品に加え、クロスシート用やリクライニングシート用、ロングシート用、ハネ寝台用など、室内を再現するためのウエイト部品も提供していました。ベンチレーターもグローブ型や急行型角形、電車用、寝台車用など、様々な形式に対応したものがラインナップされており、車両のディテールアップに重宝されました。

さらに、鉄道車両の塗装に特化した特色塗料も製造しており、Mr.カラー薄め液に対応していました。JRFレッド、クリーム2号、ぶどう色1号、青15号、灰色8号など、鉄道ファンにとって馴染み深い様々な色が製品化され、多くのモデラーに利用されました。

モリタの製品は、その精密な表現力や金属ならではの質感から、多くの鉄道模型愛好家に支持されていました。廃業後も、一部製品は中古市場で取引されており、その品質は高く評価されています。

関連項目

• - Nゲージ
• - 日本の鉄道模型メーカーの一覧

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