モンタサン

モンタサン：不運の名馬とその魅力

1960年代後半、日本の競馬界を沸かせた競走馬、モンタサン。その活躍は華々しい勝利だけでなく、幾多の困難や惜敗によって彩られた、まさにドラマチックなものでした。クラシック三冠への挑戦、そして幾度となく訪れた不運。これらの出来事から、モンタサンは「不運の名馬」として語り継がれることとなります。

華々しいデビューとクラシックへの挑戦

モンタサンは1966年にデビュー。デビューから6戦目となる朝日盃3歳ステークスではレコードタイムでの優勝という快挙を成し遂げ、将来を嘱望される存在となりました。続く1967年春には、当時の強豪ホウゲツオーを相手に勝利を収め、クラシック三冠への期待は一気に高まりました。しかし、運命のいたずらでしょうか。長引く馬丁ストライキの影響で体調を崩し、皐月賞と東京優駿では残念ながら敗退。その後、懸命な治療とリハビリを経てセントライト記念で再びレコードタイムでの優勝を飾ります。しかし、菊花賞を目前に控えた10月、飼料による農薬中毒というアクシデントに見舞われ、出走を断念せざるを得ませんでした。

幾多の勝利と惜敗

1968年にはオープン競走を3連勝。東京競馬場スタンド新築記念では、特別競走ながら重賞に匹敵する高額賞金を得ました。1969年には京王盃スプリングハンデキャップを制覇。天皇賞・春への期待も高まりましたが、軽い捻挫のため出走を回避。27戦12勝という輝かしい戦績を残しました。重賞勝利は3回、数々のレコードタイムも記録しています。しかし、2着7回という結果も、彼の不運さを物語っていると言えるでしょう。八大競走では、1968年の有馬記念で4着という成績を残したものの、その他のレースでは思うような結果を残せませんでした。

個性的な走り

モンタサンは気性が荒く、調子が悪くなると攻撃的な面を見せることもあったと言われています。レース中の走りも独特で、ゴール直前で気を抜くこともあったとか。主戦騎手であった油木宣夫騎手は、彼の気性と走り方を熟知し、その特性を活かした騎乗を心がけていました。

熱狂的なファンと著名人

モンタサンには熱狂的なファンが数多く存在しました。彼らは「モンタサン党」と呼ばれ、その熱意は並々ならぬものでした。著名人にもファンが多く、詩人の寺山修司氏は雑誌『優駿』で度々モンタサンについて言及。タレントの大橋巨泉氏も、寺山氏とともにモンタサンを愛した一人として知られています。さらに、タレントのみのもんた氏も芸名の由来がモンタサンであると公言しており、その人気は競馬ファンの枠を超えていたことがわかります。

血統とその後

モンタサンの母方の血統には、名馬ヤマトキヨウダイや、数々の重賞勝ち馬が含まれていました。その優れた血統背景も、彼の潜在能力の高さを示唆しています。種牡馬となった後は目立った活躍はありませんでしたが、競走馬としての彼の功績は、競馬史に深く刻まれています。

結論

モンタサンは、その類まれな能力と不運、そして個性的なキャラクターによって、多くの競馬ファンを魅了した伝説的な競走馬でした。「不運の名馬」という呼び名は、彼の人生を端的に表していると言えるでしょう。彼の活躍は、私たちに感動と興奮、そして忘れがたい記憶を与えてくれました。彼の名前は、これからも競馬史に語り継がれていくことでしょう。

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