モーリス・ルーカス

モーリス・ルーカス：ブレイザーズを頂点に導いた闘将

モーリス・ルーカス（Maurice Lucas, 1952年2月18日 - 2010年10月31日）は、1970年代から80年代にかけてABAとNBAで活躍したアメリカのプロバスケットボール選手です。206cmの長身と屈強な体格を生かしたパワーフォワードとして、14シーズンの間、数々のチームを渡り歩きました。中でも、ポートランド・トレイルブレイザーズを初のNBA制覇に導いた功績は特筆に値します。

大学時代：名将マグワイアの下で開花

ペンシルベニア州ピッツバーグで生まれたルーカスは、マーケット大学に進学し、名将アル・マグワイア監督の指導を受けました。1974年にはNCAAトーナメントでチームを初の決勝進出に導き、ノースカロライナ州立大学に惜しくも敗れたものの、21得点13リバウンドと大活躍しました。大学での2年間で平均15.7得点10.7リバウンドを記録し、その才能の片鱗を見せつけました。

ABA時代：スターダムへの階段を駆け上がる

1974年、ルーカスはNBAドラフトでシカゴ・ブルズから全体14位指名を受けましたが、ABAのスピリッツ・オブ・セントルイスに入団しました。1年目から平均ダブルダブルを記録するなど、その存在感を発揮。翌1975-76シーズン途中にケンタッキー・カーネルズに移籍し、オールスターにも初選出されました。カーネルズはプレーオフ準決勝で敗退しましたが、ルーカスの評価は高まるばかりでした。

NBA時代：ブレイザーズを初優勝に導く

ABAとNBAの合併に伴い、カーネルズが解散したため、ルーカスはエクスパンション・ドラフトでポートランド・トレイルブレイザーズに移籍し、NBAキャリアをスタートさせました。当時のブレイザーズは、創設以来プレーオフに進出したことのない弱小チームでしたが、ルーカスの加入によってチームは劇的に向上しました。1976-77シーズンには、チームトップとなる平均20.2得点を記録し、オールスターに選出。ビル・ウォルトンとの強力なコンビでチームを牽引し、49勝をあげて球団史上初のプレーオフ進出を果たしました。

勢いに乗ったブレイザーズは、ファイナルでフィラデルフィア・76ersと対決。第2戦では、ルーカスが76ersのダリル・ドーキンスと乱闘事件を起こして退場処分を受けるというアクシデントがありましたが、これにより逆にチームは結束力を高めました。第3戦以降はブレイザーズが主導権を握り、最終的に4勝2敗で初のNBA制覇を成し遂げました。ファイナルMVPはウォルトンが受賞しましたが、ルーカスはチーム首位のシリーズ平均19.7得点に加え、エネルギッシュなプレーでチームメイトを鼓舞し、優勝に大きく貢献しました。

その後：各地を転戦、レイカーズでも活躍

ブレイザーズでの活躍後、ルーカスはニュージャージー・ネッツ、ニューヨーク・ニックス、フェニックス・サンズなどを渡り歩きました。サンズでは、ラリー・ナンスやウォルター・デイビスらと共にチームをカンファレンス決勝に導くなど、ベテランとして存在感を発揮しました。1985年にはロサンゼルス・レイカーズに移籍し、マジック・ジョンソンらと共にシックスマンとしてチームに貢献しました。

引退、そして早すぎる死

レイカーズ、シアトル・スーパーソニックスを経て、1987年に古巣ポートランド・トレイルブレイザーズに復帰。1987-88シーズンを最後に現役を引退しました。引退後、ブレイザーズのアシスタントコーチを務め、後進の指導にもあたりました。1997年にはABAオールタイムチームに選出されています。

2010年、ルーカスはオレゴン州ポートランドの自宅で58歳という若さで亡くなりました。彼の死を悼み、ブレイザーズは2010-11シーズンのジャージに20本のパッチをつけて、その功績を称えました。

モーリス・ルーカスは、その激しいプレーとリーダーシップで多くのファンを魅了し、ポートランド・トレイルブレイザーズの歴史に永遠にその名を刻みました。

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