モーレ

モーレ：メキシコを彩る複雑なソースの世界

モーレ（Mole）は、メキシコ料理に欠かせないソース、およびそれを使用した料理の総称です。その語源はナワトル語の「ソース」を意味する「mulli」または「molli」に由来します。メキシコ国外では「モーレ・ポブラーノ」という特定のソースを指すことが多いですが、現代のメキシコでは、黒、赤、黄色、緑など、多種多様な色のモーレが存在します。特に、メキシコのプエブラ州やオアハカ州はモーレが有名で、メキシコシティ郊外のサンペドロ・デ・アトクパンでは国際大会も開催されるほどです。手間暇をかけて作られるモーレは、特別な日の料理として親しまれています。

モーレの多様な種類

モーレはその地域や材料によって様々な種類が存在します。

モーレ・ポブラーノ：プエブラ州発祥で、最も一般的なモーレの一つです。複数の唐辛子、ナッツや種子、スパイス、メキシコ産チョコレートなどを複雑に組み合わせた、深みのあるソースです。焼いたアボカドの葉やオレガノなどの乾燥ハーブも使われ、トルティーヤやパンでとろみをつけ、最後に茹でた鶏肉や七面鳥を煮込んで仕上げます。アメリカでは「モーレ」といえばこのソースを指すほどです。
モーレ・デ・カカワテ：落花生を使ったモーレで、鶏肉を煮込むのに使われます。ピーナッツの風味が特徴的です。
モーレ・ベルデ：緑色のモーレで、ロメインレタス、コリアンダー、エパソーテ、パセリ、トマティーヨ、青唐辛子などを使用します。カボチャの種を使った「モーレ・ベルデ・デ・ペピータ」、ピーナッツを使った「モーレ・ベルデ・デ・カカワテ」などがあります。アヒル肉や豚肉との相性が良いです。
モーレ・ネグロ：オアハカ州の黒いモーレで、多くのスパイスや食材を炒めてからミキサーにかけ、手間暇をかけて作られます。チレの種を炒って黒くし、トマトやクローブ、オールスパイスなどと合わせてラードで炒めた胡麻、アーモンド、ピーナッツ、レーズン、玉ねぎなどをミキサーにかけます。チレの果肉をミキサーにかけたものと合わせ、最後にメキシコ産チョコレートと鶏のゆで汁を加えて煮込み、鶏肉を混ぜて完成となります。

モーレの調理法

モーレの調理法は多岐にわたりますが、基本的には乾燥させた唐辛子、刻んだ玉ねぎ、ニンニクを油で炒めることから始まります。そこに鶏肉の煮汁と残りの材料を加えてミキサーで混ぜ、鍋で煮込みます。以前はマノとメタテという石臼で材料をすりつぶしていましたが、現代ではミキサーを使用するのが一般的です。鶏肉の煮汁にパン粉やトルティーヤ、マリービスケットを加え、とろみをつけることもあります。

家庭での調理を簡単にするための、ペーストや粉末状のモーレも市販されています。これらは濃い黒色から緑色、黄色など様々な色があり、缶詰や瓶詰、固形タイプなど多様な形で販売されています。

グアテマラでは、肉料理をモーレと呼ぶこともありますが、「プラタノス・エン・モーレ」は、チョコレート、トマト、トマティーヨ、レーズン、シナモンなどを使った甘いソースで、揚げたプランテンを煮込んだデザートを指します。

また、エンチラーダを作る際にサルサの代わりにモーレを使用すると、「エンモラーダ」という料理になります。

祝祭でのモーレ

モーレはメキシコの祝祭料理として重要な役割を果たします。

結婚式
シンコ・デ・マヨ
キンセアニェーラ：少女の15歳の誕生日パーティー
死者の日

これらの祝祭では、モーレが食卓を彩り、特別な日を祝います。

関連項目

メキシコ料理
ワカモレ

外部リンク

A mole recipe from the Vegan Society
Doña Maria Mole is the most prominent brand of poblano(traditional) mole

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