ヤコブ・ファン・ヘームスケルク (軽巡洋艦)

軽巡洋艦「ヤコブ・ファン・ヘームスケルク」の紹介

「ヤコブ・ファン・ヘームスケルク」は、オランダのトロンプ級軽巡洋艦として、第二次世界大戦中に大きな役割を果たしました。この艦はオランダ海軍の名に由来し、様々な戦闘や艦隊作戦に参加しました。1940年に非武装の豪華な姿で就役し、その後、戦争の激化に伴い、徐々に改装されていきます。

艦形と武装

本艦のデザインは姉妹艦「トロンプ」と似ていますが、異なる兵装を搭載しています。船体は船首楼型で、イギリスで建造が続けられた結果、長船首楼形に変更されました。船体前方には独特なクリッパー型の艦首が存在し、左舷に2つ、右舷に1つの錨が配置されています。この錨は、使用しない際には艦首に埋め込まれる巧妙な設計です。

搭載される武装は、当初はオランダ海軍の定番兵器であるボフォース製の15cm砲を想定していましたが、手に入れられなかったため、イギリス製の10.2cm両用砲が採用されました。艦首甲板には2基の背負い式連装砲架が装備されています。この配置により、艦首・舷側・艦尾方向に高射砲を効果的に配置することができました。また、火器の運用のために、当初からレーダーが搭載され、時には最新型のものに更新されました。

艦歴

「ヤコブ・ファン・ヘームスケルク」は1938年10月に起工し、1939年9月に進水しました。1940年にドイツがオランダに侵攻した際、本艦は完成間近でしたが、就役時には装備が限定されていました。その後、オランダ政府がイギリスに亡命すると、艦もエスコートして王族を運ぶ役割を果たしました。

1941年になると、艦は大西洋の戦闘に参加し、重要な船団護衛任務を担いました。日本の南方作戦が始まると、さらに東洋艦隊に配属され、インド洋での作戦も実施しました。特に、セイロン沖海戦では日本の航空戦力に対抗し、艦隊を護るために大いに貢献しました。

その後も本艦は様々な作戦に参加しましたが、日本の戦局の変化に伴い、次第にその活動は困難になっていきました。1942年から1943年にかけては、インド洋での船団護衛任務に従事し、様々な海戦に関与しました。

1944年には修理のため地中海経由でイギリスに向かい、改装を終えた後、1945年にオランダに帰還しました。その後は練習艦として使用され、1955年に宿泊艦となり、1970年に除籍されました。さらに同年に解体業者に売却され、海の歴史の舞台から姿を消しました。

まとめ

「ヤコブ・ファン・ヘームスケルク」は、戦争という激動の時代にありながら、多岐にわたる任務を果たしてきました。艦の設計や運用の歴史は、オランダ海軍の重要な一部を形成しています。各種兵装の変更や艦歴は、その時々の戦況に応じた臨機応変な対応を象徴しています。

もう一度検索