ヤナバスキー場前駅

ヤナバスキー場前駅：冬季限定のスキー場最寄駅

長野県大町市平簗場にあったヤナバスキー場前駅は、東日本旅客鉄道（JR東日本）大糸線に設置されていた臨時駅です。駅番号は17番。ヤナバスキー場の最寄駅として、スキーシーズンのみ列車が停車していました。

開業から廃止まで

ヤナバスキー場前駅は、スキー場会社が建設費を地元団体に寄付し、その施設を国鉄に譲渡する形で開業しました。1985年12月24日、国鉄駅として開業。駅員は配置されておらず、旅客のみを取り扱う無人駅でした。1987年4月1日の国鉄分割民営化後は、JR東日本の駅となりました。

営業期間は概ね12月から翌年3月までのスキーシーズンに限られており、乗車券は委託販売されていました。しかし、ヤナバスキー場の営業状況に大きく影響され、2013年度はスキー場が営業休止したにもかかわらず、臨時停車が実施されました。しかし、2016年度にヤナバスキー場が再び営業休止すると、駅への停車も中止。その後、スキー場再開の見込みがないまま、2019年3月16日のダイヤ改正で廃止となりました。

駅の構造と利用状況

ヤナバスキー場前駅は、単式ホーム1面1線の地上駅で、廃止時点では信濃大町駅が管理していました。利用状況は低迷しており、「長野県統計書」によると、1日平均の乗車人員は2007年度が4人、2009～2011年度は3人でした。

駅周辺環境と廃止後

駅周辺には、青木湖、国道148号、加蔵バス停（予約制の大町市民バス）などがありました。廃止後は駅名板以外の設備はしばらく残っていましたが、後にホームや駅舎も撤去され、現在では遺構はほとんど残っていません。

他のスキー場最寄駅との比較

ヤナバスキー場前駅は、上越国際スキー場前駅、越後中里駅、ガーラ湯沢駅、面白山高原駅など、スキー場へのアクセスを目的とした他の駅と同様、季節限定の運行形態をとっていました。これらの駅も、スキー場の盛衰や利用状況によって、その存続が左右される点で共通しています。

まとめ

ヤナバスキー場前駅は、スキー場と密接に関連した、短い歴史を持つ駅でした。利用客の少なさやスキー場の長期休業によって廃止に至ったことは、地方のローカル線の厳しい現状を象徴する事例と言えます。その存在は、かつてこの地がスキー客でにぎわっていた時代を物語る、静かな証となっています。

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