信濃大町駅

信濃大町駅：大糸線の要衝、山岳都市の玄関口

信濃大町駅は、長野県大町市の中心部に位置する、東日本旅客鉄道（JR東日本）大糸線の駅です。駅番号は23番。大糸線における主要駅として、特急列車を含む全列車が停車し、多くの普通列車がここで始発・終着となります。松本駅に次ぐ利用者数を誇り、大糸線の要衝として、地域経済や観光に大きく貢献しています。

歴史：信濃鉄道から大糸線へ

信濃大町駅の起源は、1916年（大正5年）に開業した信濃鉄道に遡ります。松本駅から大町市を目指し、日本海側へのアクセスを目指した私鉄でした。大町市からの積極的な支援もあり、開業は地域に大きな変化をもたらしました。しかし、地理的条件から延伸が難航していた中、軍事的な必要性から国が糸魚川駅への路線建設を決定。1929年（昭和4年）、大糸南線として信濃大町駅 - 簗場駅間が開通しました。その後、1957年（昭和32年）に全線が完成し、大糸線と改称。1971年（昭和46年）には特急「あずさ」の乗り入れが始まり、立山黒部アルペンルートの玄関口としての役割も担うようになりました。2010年（平成22年）には駅舎を山小屋風に改装し、新たな魅力が加わりました。2014年（平成26年）には長野県神城断層地震の影響を受けましたが、全線復旧を果たしています。

駅構造：2面3線の地上駅

信濃大町駅は、単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、合計2面3線の地上駅です。1番線が特急列車の発着ホームで、駅舎に直結しています。島式ホームは3・4番線、2番線は使用されていない留置線です。ホーム間は跨線橋で連絡しており、木造の駅舎は2010年の改装で山小屋風となり、長野県産杉材が使用されています。駅構内には自動券売機、話せる指定席券売機、自動改札機（Suica非対応）が設置され、コンビニエンスストアや駅そば店も営業しています。また、構内にはかつての蒸気機関車の転車台も現存し、歴史を感じさせる貴重な遺構となっています。信濃大町駅は、細野駅～簗場駅間の各駅を管理する直営駅でもあります。

専用線：産業発展を支えた歴史

信濃大町駅には、かつて東洋紡績大町工場と昭和電工大町工場へ続く専用線が敷設されていました。特に、関西電力の黒部川第四ダム建設時には、大量の資材輸送に重要な役割を果たしました。専用線は北大町駅まで本線と並走し、扇沢までは道路輸送で補完されていました。また、東信電気鉄道も駅前から発電所建設資材を運搬する路線を運行していました。現在も、昭和電工へ向かう専用線の跡が残っており、過去の産業発展の跡を見ることができます。

利用状況と駅周辺：観光と商業の中心地

2023年度の1日平均乗車人員は約1,110人です。開業当初から北安曇郡内最大の乗降客数を誇り、現在も大町市の交通の中心地として機能しています。駅周辺には、歴史ある塩の道ちょうじや、大町山岳博物館などの観光施設、大町郵便局、金融機関、商業施設（フレスポ大町など）が数多く集積し、賑わいを見せています。かつては東洋紡績大町工場やカネマンジャスコ大町店など大規模な工場や商業施設がありましたが、現在は閉鎖され、跡地は新たな用途に転用されています。

アクセス：バス路線と高速バス

信濃大町駅から周辺地域へのアクセスは、アルピコ交通、北アルプス交通などのバス路線が充実しています。大町温泉郷、扇沢、長野駅方面への路線に加え、信濃大町周遊バス、大町市民バスなども運行されています。高速バスも充実しており、新宿、大阪、京都、さらには成田空港方面への路線も運行されています。

まとめ

信濃大町駅は、大糸線の重要な拠点駅として、地域社会や観光に欠かせない存在です。歴史ある駅舎、周辺の観光資源、利便性の高い交通アクセスなど、魅力が凝縮された駅です。今後とも、大町市の発展に貢献していくことでしょう。

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