ヤノマミ族

ヤノマミ族：アマゾンの奥地に生きる人々

ヤノマミ族は、南米アマゾンの熱帯雨林からオリノコ川にかけて広範囲に居住する先住民族です。「ヤノマミ」とは、ヤノマミ語で「人間」を意味します。彼らは、伝統的な狩猟採集生活を維持し、独自の文化と社会構造を築いてきました。

概要

ヤノマミ族は、主にブラジルとベネズエラの国境付近に住んでいます。人口は、約2万8000人と推定されており、南米に残る未接触[[部族]]の中では最大規模です。言語や居住地に基づき、ヤノマメ、ヤノマム、サネマ、ヤナムの4つの下位集団に分かれています。

生活習慣

ヤノマミ族は、シャボノと呼ばれる巨大な共同住宅で生活します。シャボノは円形で、中央の広場を囲むように建てられており、精霊が降りてくると信じられています。プライバシーの概念は薄く、仕切りはありません。衣服はほとんど着用せず、女性は初潮を迎えるとロインクロスをつけます。彼らの食生活は、狩猟で得た動物の肉、魚、昆虫、キャッサバなどが中心です。塩を調味料として使用しないため、極端に低血圧であることで知られています。

焼畑農業も行っており、バナナやキャッサバを栽培しています。

社会

ヤノマミ族の社会は、複数の部族や氏族に分かれており、村ごとに生活しています。村同士の関係は不安定で、同盟が破棄され、戦争が起こることもあります。社会構造は男性優位で、肉体的な争いが頻繁に発生します。近年、金鉱開発による鉱夫の流入が、疾病、アルコール中毒、暴力をもたらし、彼らの文化は危機に瀕しています。

シャーマニズム

ヤノマミ族はシャーマニズムを信仰しており、病気の原因は悪霊にあると考えています。シャーマンはジョポ（幻覚剤）を使って悪霊を視覚化し、病を癒します。少年たちは通過儀礼としてジョポを使用し、精霊や悪霊を視る慣習があります。

出産と死

女性は平均14歳で出産します。出産は森で行われ、生まれた子供を人間の子供として育てるか、精霊として返すかが選択されます。精霊として返す場合は、首を絞めて窒息死させた後、白アリの塚に放置します。寿命や病気で亡くなった場合も、同様に精霊として扱われます。

論争

ヤノマミ族に関する調査は、倫理的な論争を巻き起こしました。人類学者ナポレオン・シャグノンによる血液研究は、先住民の伝統に反するとして批判されました。また、彼の著書「エルドラドの闇」では、ヤノマミ族に害を与えたとして非難されました。しかし、後の調査では、ティアニーによる批判は不当であり、シャグノンは倫理的に不当な行動は行っていないと結論付けられました。

鉱山業者との対立

ヤノマミ族の居住地域では、鉱山開発による環境破壊や、鉱山業者との対立が深刻化しています。1993年には、金採掘業者による虐殺事件が発生しました。2012年には、ベネズエラで鉱山業者による襲撃事件が報道されましたが、後に事実ではないとされました。

ベネズエラ軍との争い

2022年、Wi-Fiの使用を巡り、ヤノマミ族とベネズエラ軍が衝突し、死者が出ています。

まとめ

ヤノマミ族は、アマゾンの奥地に独自の文化を守りながら生活を営んできましたが、外部からの影響により、その伝統的な生活は危機に瀕しています。彼らの文化と権利を守るための取り組みが求められています。

参考文献

• - ジャック・リゾー「ヤノマミ」守矢信明訳、パピルス、1997年
• - 国分拓「ヤノマミ」、NHK出版、2010年

関連項目

• - ナパニュマ

外部リンク

• - DVD『ヤノマミ～奥アマゾン・原初の森に生きる～［劇場版］』2010年8月、日本コロムビア
• - ＮＨＫスペシャル ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる - NHK名作選(動画・静止画) NHKアーカイブス

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