ヤフドゥン・リム

ヤフドゥン・リム（生没年不詳）は、紀元前1800年頃にアムル人の王朝であるマリを統治した王です。彼はマリ王ヤギド・リムの息子として生まれ、父の死後に王位を継承しました。

治世と業績

ヤフドゥン・リムは即位後、積極的に領土拡大政策を推し進めました。彼はまず、マリに侵入してきたカナン人を撃退し、その勢力を一掃することに成功します。その後、彼はさらに西方へと軍を進め、地中海方面への遠征を敢行し、広大な領土を獲得しました。これらの軍事的な成功によって、マリは当時における有力な国家の一つとして台頭することになります。

また、ヤフドゥン・リムは内政にも力を注ぎました。彼は都市の整備や灌漑施設の建設などを行い、マリの経済的な発展に貢献しました。特に有名なのは、太陽神シャマシュに捧げる神殿の建設です。この神殿は、ヤフドゥン・リムの権威を示す象徴的な建造物として、マリの人々から崇められました。

アッシリアとの対立と最期

ヤフドゥン・リムの治世後半、マリは新たな脅威に直面することになります。それは、北方に位置するアッシリアの台頭でした。当時、アッシリアの王であったシャムシ・アダド1世は、積極的な領土拡大政策を展開しており、その勢力はマリの領域にも迫っていました。当然、両国の間には緊張が高まり、ついに武力衝突へと発展します。

ヤフドゥン・リムは、シャムシ・アダド1世率いるアッシリア軍との戦いで、一時的にエカラトゥムに迫るなど優位に立つ場面もありましたが、徐々に形成は逆転していきます。長期にわたる戦争によって国力が疲弊し、マリの内部にも動揺が広がっていきました。そして、ついにヤフドゥン・リムは、配下であったスム・ヤマムによるクーデターによって暗殺されてしまいます。彼の死後、息子のジムリ・リムは王位を追われ、アレッポへと亡命せざるを得ませんでした。

ヤフドゥン・リムの死後、マリは混乱に陥りました。その隙をついて、シャムシ・アダド1世はマリに侵攻し、間もなくマリはアッシリアによって完全に占領されました。その後、マリはシャムシ・アダド1世の息子であるヤスマフ・アダドによって統治されることになり、ヤフドゥン・リムの築き上げたマリ王国は、一時的にアッシリアの支配下に入ることになったのです。

ヤフドゥン・リムの治世は、マリの歴史において重要な転換期となりました。彼の積極的な政策によって、マリは一時的に繁栄を極めましたが、アッシリアとの対立によってその勢いは衰え、最終的には滅亡へと向かうことになります。しかし、彼の残した功績は、マリの文化や歴史に深く刻まれ、後世にまで語り継がれています。

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