ヤブヒョウタンボク

ヤブヒョウタンボク (Lonicera linderifolia)

概要

ヤブヒョウタンボクは、スイカズラ科に属する落葉低木で、特に岩手県北上山地に固有の植物です。この植物はその名の通り、見かけ上には「藪」に生える特徴を持っていますが、実際には特定の標高帯でのみ生育するため、希少な存在となっています。
この植物は、高さ1から2メートルに成長し、密生した枝を持ちます。特徴的な暗紫色の花を下向きに二つずつ咲かせ、春の訪れを感じさせてくれる存在です。

特徴

ヤブヒョウタンボクは中実の茎を持ち、若い枝には短い屈毛が生えています。幹の樹皮は褐色を呈し、年を重ねるごとに縦に裂けています。葉は対生の形を取り、長さ1から6センチメートル、幅は7から20ミリメートルの楕円形または披針形をしています。葉の先端はやや鈍く、基部はくさび形もしくは円形であり、両面には短い屈毛が見られます。

果実は直径5から8ミリメートルの球状で、2つずつ並んで成長しますが、合着はしません。果実は7から8月に赤く熟し、果柄の長さは17から25ミリメートルに達します。種子は長さ2.5ミリメートルほどと小さく、これが次世代の植物の育成につながります。

分布と生育環境

ヤブヒョウタンボクは日本固有種で、特に岩手県の北上山地に分布しています。具体的には早池峰山、姫神山、五葉山で見ることができ、高度500から1300メートルの亜高山帯から林床の岩角地などに稀に生育しています。そのため、自然環境が保護されている地域に多く見られます。

名前の由来

和名のヤブヒョウタンボクは「藪瓢箪木」に由来し、ここから以降の命名が進みました。特に、種小名のlinderifoliaは、葉がクロモジ属に似通っていることを示唆するものであり、葉の形が非常に特徴的であることが分かります。

保全状況

ヤブヒョウタンボクは、環境省により絶滅危惧IB類に分類されています。岩手県ではAランクに指定されており、非常に珍しい植物として扱われています。2020年には国内希少野生動植物種に指定され、許可なく採取や損傷が禁止されています。これは、この植物の生育とその周囲の生態系を守るための重要な措置です。

下位分類

この種には、コゴメヒョウタンボクという変種が存在します。この変種は長野県や静岡県に隔離的に分布しており、基本変種から分かれたものです。

まとめ

ヤブヒョウタンボクは、その希少性と独自の特性から、日本の自然遺産として重要な位置を占めています。適切な保護を受けながら、次世代に伝えていくべき貴重な植物です。

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