ヤマハ・WXシリーズ

ヤマハ WXシリーズ：ウインドシンセサイザーの世界

ヤマハのWXシリーズは、管楽器の演奏感覚でMIDI音源をコントロールできるウインドシンセサイザーです。これらの楽器は、本体に音源を持たず、外部の音源モジュールを遠隔操作するユニークな設計が特徴です。ここでは、WXシリーズの各モデルと、専用音源モジュールであるWT11について詳しく見ていきましょう。

WXシリーズの概要

WXシリーズは、サックスやクラリネットなどの管楽器と同じように演奏できることを目指して開発されました。息を吹き込む強さや指使いによって、MIDI音源をコントロールし、多彩な音楽表現を可能にします。このシリーズの各モデルは、外部音源モジュールと組み合わせて使用することで、様々な音色やエフェクトを駆使した演奏が楽しめます。

シリーズの各モデル

WX7 (1987年発売)

WX7は、WXシリーズの初代モデルです。サックスやクラリネットと同じ運指で演奏でき、約7オクターブの音域をカバーします。演奏には、付属の専用電源ボックスと、TX81Zなどの外部音源モジュールが必要です。ブレスコントロール、ボリューム、アフタータッチに対応しており、演奏のニュアンスを細かく表現することができます。

WX11 (1988年発売)

WX11は、WX7の廉価版として登場しました。WX7と同様にサックスやクラリネットの運指で演奏でき、約7オクターブの音域をカバーします。WX11の特徴は、タイトリップとルーズリップという2つの奏法に対応している点です。また、キーホールド機能を利用することで和音を出すことも可能です。専用音源としてWT11が発売されており、WT11またはVL70-m以外の音源と接続する場合は、電源ボックスBT7が必要になります。ブレスコントロールに対応し、WX5発売までロングセラーモデルとして販売されていました。

BT7 について

BT7は、単三乾電池6本またはACアダプタでWX11に電源を供給する電源ボックスです。MIDI-OUT端子を備えているため、WX11をWT11以外の音源モジュールと接続する際に利用します。外見と仕様はWX7付属の電源ボックスと同一であり、WX7にも接続可能です。

WX5 (1998年発売)

WX5は、WXシリーズの集大成とも言えるモデルです。サックス、フルート、リコーダーの運指に対応し、より幅広い演奏スタイルに対応しました。WX5は、本体にMIDI端子と乾電池（単4×6本）スペースを備えているため、別途電源ボックスは不要です。ACアダプターによる電源供給も可能です。ブレスコントロール、ボリューム、エクスプレッションに対応し、演奏表現の幅を広げています。ヤマハの音源モジュールVL70-mとの接続では、専用ケーブルを使用し、VL70-mから電源供給が可能で、WX用の音色も用意されています。WX5は、WX7、WX11の発売から約10年後に発売されました。この間にヤマハのシンセサイザーの型番がQXからQY、RXからRYに変わったにも関わらず、WXがWYにならなかったのは、WXの型番に空きがあったことと、当時のフラッグシップシンセサイザーがEX5であったことが影響していると考えられます。WX5は、現在生産終了となっています。

専用音源 WT11 (1988年発売)

WT11は、WX7とWX11専用に開発された音源モジュールです。内部にはV2やTX81Zと同じFM音源が搭載されており、4オペレータ8アルゴリズムで構成されています。プリセット音色は96種類で、リバーブやディレイなどのエフェクトも内蔵しています。MIDI-IN端子も搭載されており、WXシリーズ以外のMIDIキーボードを接続することもできますが、その場合、WT11の機能を最大限に活用することはできません。また、WT11本体のみでは音色エディットができないため、V2やTX81Zなどの互換性のある音源モジュールと接続して行う必要があります。

関連情報

• - ウインドシンセサイザー
• - ヤマハ・TXシリーズ
• - ヤマハ・VL/VPシリーズ

外部リンク

• - WX5 製品情報

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