ヤンキーローズ (競走馬)

ヤンキーローズ：豪州が生んだ名牝、日本で三冠馬の母となる

ヤンキーローズ（Yankee Rose）は、2013年8月7日にオーストラリアで生まれた競走馬です。その競走成績もさることながら、引退後に日本のノーザンファームで繁殖牝馬となり、2023年の牝馬三冠を達成したリバティアイランドを生産したことで、その名を知られています。

競走馬時代

デビュー前

ヤンキーローズは、良質な血統を受け継いでいます。3代母はヨークシャーオークス勝ち馬コンデッサであり、近親にはデューハーストステークス勝ち馬トゥスールや、日本で活躍したビコーペガサス、シンボリグランなどがいます。

2015年、ウィデンスタッドによってイングリス社のクラシック1歳セールに出品され、ダービーレーシングによって1万オーストラリアドルという安価で落札されました。その後、スコット・ダービーを中心とした共同所有となります。

2015/16年シーズン

当初はクラリー・コナーズ調教師の元にいましたが、後にデヴィッド・ヴァンダイク調教師の厩舎へ転厩。2015年10月31日にローズヒルガーデンズ競馬場で行われた2歳限定戦（芝1100メートル）でデビューし、7番人気ながら見事な勝利を飾りました。続く11月21日のゴールデンギフト（芝1100メートル）でも2番人気に応え優勝。この時の勝ち時計1分4秒23は、後にタッソートに更新されるまでレースレコードでした。

2016年3月19日には、ザック・パートン騎手を鞍上に迎え、世界最高賞金競走であるゴールデンスリッパーステークス（G1、芝1200メートル）に出走。7番人気ながら2着と健闘しました。

4月2日のサイアーズプロデュースステークス（G1、芝1400メートル）では、1番人気に支持され、テルペリオンを2.5馬身差抑えて優勝。この勝利は、ヴァンダイク調教師と馬主のスコット・ダービーにとって、初のG1制覇となりました。その後、シャンペンステークスを回避し、蹄の症状再発により2歳シーズンを4戦3勝2着1回で終えました。

2015/16年シーズンのオーストラリア競馬年度表彰では最優秀2歳馬候補にノミネートされるも、キャピタリストが受賞。しかし、オーストラリアンクラシフィケーションでは2歳牝馬部門で1位、インターナショナル・カタロギング・スタンダーズでは「2歳牝馬チャンピオン」に選定されるなど、高い評価を受けました。

2016/17年シーズン

休養明けの2016年9月1日、ゴールデンローズステークス（G1、芝1400メートル）に出走し6着。その後、フライトステークス（G1、芝1600メートル）で2着に入線するも、競走後の検査で禁止薬物の陽性反応が確認され失格となります。しかし、10月8日のスプリングチャンピオンステークス（G1、芝2000メートル）では、1番人気に応え優勝。牝馬として史上初のスプリングチャンピオンステークス制覇となりました。

10月23日には、古馬混合のコックスプレート（G1、芝2040メートル）に出走。ウィンクスの3着と健闘し、ヴァンダイク調教師から「最高のスーパースター」と称賛されました。しかし、続くクラウンオークス（G1、芝2500メートル）では14着と大敗。左膝に骨片が見つかり、長期休養を余儀なくされました。

2016/17年シーズンのオーストラリア競馬年度表彰では最優秀3歳牝馬に選出。オーストラリアンクラシフィケーションでも3歳牝馬部門で1位、インターナショナル・カタロギング・スタンダーズでも「3歳牝馬チャンピオン」に選定されました。

2017/18年シーズン

2017年9月2日のメムジーステークス（G1、芝1400メートル）で復帰するも9着。レース後に跛行が確認され、繁殖牝馬として売却されることになりました。生涯獲得賞金は200万オーストラリアドル以上。日本の吉田勝己氏によって購買されました。

繁殖牝馬時代

2017年に日本へ輸入され、ノーザンファームで繋養。2019年には、ディープインパクトとの仔がセレクトセールで高額落札されました。そして2020年、ドゥラメンテとの配合でリバティアイランドを生産。リバティアイランドは、2022年の阪神ジュベナイルフィリーズを制し、JRA賞最優秀2歳牝馬を受賞。さらに、2023年には牝馬三冠を達成し、JRA賞最優秀3歳牝馬に輝きました。

ヤンキーローズは、競走馬としてだけでなく、繁殖牝馬としてもその能力を発揮し、競馬史に名を刻むことになったのです。

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