ヤングガン

映画『ヤングガン』解説

『ヤングガン』（Young Guns）は、1988年に公開されたアメリカの西部劇映画です。クリストファー・ケインが監督を務め、エミリオ・エステベスが主演を務めました。この映画は、実在したアウトロー、ビリー・ザ・キッドを題材にしており、リンカーン郡戦争と呼ばれる事件を中心に物語が展開されます。史実に基づきながらも、エンターテイメント性を高めるために大胆な脚色が加えられているのが特徴です。

あらすじ

1878年、ニューメキシコ州リンカーン郡では、二つの勢力が対立し、緊張が高まっていました。イギリス人牧場主のジョン・タンストール（テレンス・スタンプ）は、自警団「ヤングガン」を雇い、その一人であるジョシア・“ドク”・スカーロック（キーファー・サザーランド）と共に町へ向かいます。そこで、追われている若者ウィリアム・H・ボニー（エミリオ・エステベス）、後のビリー・ザ・キッドを助けます。

タンストールの牧場で、ビリーはディック・ブリュワー（チャーリー・シーン）、チャーリー・ボウドル（ケイシー・シーマツコ）、ホセ・チャベス・イ・チャベス（ルー・ダイアモンド・フィリップス）、スティーヴ（ダーモット・マローニー）といったヤングガンの仲間たちと友情を育みます。タンストールと弁護士のアレックス・マクスウィーン（テリー・オクィン）に見守られ、平穏な日々を過ごすビリーは、パット・ギャレット（パトリック・ウェイン）に憧れを抱くようになります。

しかし、対立勢力であるローレンス・マーフィ（ジャック・パランス）一味の陰謀によって、タンストールが惨殺されます。復讐を誓うビリーたちは、アレックスの勧めで臨時保安官となり、マーフィ一味の逮捕を試みます。しかし、ビリーがマーフィ一味を射殺してしまったことで、ヤングガンたちは賞金をかけられ、追われる身となってしまいます。

追っ手を次々と撃ち殺すビリーの過激な行動は、仲間との間に不和を生み、ヤングガンは分裂します。しかし、タンストール殺害の実行犯であるブレディ保安官を倒すため、再び結集し、復讐を果たします。保安官殺害によって、ヤングガンは完全に無法者となり、ビリーは“ビリー・ザ・キッド”として知られる存在になっていきます。

大統領にサンタフェ・ファミリーの実態を訴えるため、メキシコへ向かおうとするビリーたち。国境の村で休息を取る中、保安官になるため故郷へ戻るというパット・ギャレットが現れ、アレックスがマーフィ一味に殺されようとしていることを警告します。ビリーたちはアレックスを救うため街へ戻り、壮絶な戦いの末にマーフィ一味を壊滅させます。

リンカーン郡戦争は終結し、生き残ったヤングガンたちはそれぞれの道を歩み始めます。しかし、ビリーはニューメキシコ州に留まり、1881年にパット・ギャレット保安官によって射殺されるという結末を迎えます。

史実との相違点

映画『ヤングガン』は、史実を基にしていますが、ドラマチックな展開のために様々な脚色が加えられています。

ヤングガンの正式名称は「自警団（レギュレーターズ）」であり、作中で「ヤングガン」と呼ばれることはありませんでした。
ヤングガンのメンバー構成も史実とは異なり、スティーヴは架空の人物です。
映画では描かれていませんが、ジョン・チザムという地主もビリー・ザ・キッドに関わっていました。
ビリーたちがリンカーンの街に籠城した際、援軍としてメキシコ人カウボーイが駆けつけましたが、映画では描かれていません。
* 史実では、サンタフェ・ファミリーは崩壊せず、リンカーン郡戦争はレギュレーターズの敗北に終わっています。

まとめ

『ヤングガン』は、ビリー・ザ・キッドを題材にした西部劇として、アクションとドラマが見事に融合した作品です。史実との相違点はあるものの、若いアウトローたちの友情、裏切り、復讐を描いた青春群像劇として、多くの観客を魅了しました。

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