ヤング・レディース

ヤング・レディース：大人の女性を描く漫画ジャンル

ヤング・レディースは、日本の女性向け漫画ジャンルの一つです。かつては20代前半の若い女性を主な読者層としていましたが、近年は30代以上の女性が中心となっています。そのため、近年は「大人女子マンガ」と呼ばれることも増えました。

恋愛や結婚、仕事、友情など、20代後半から30代女性の等身大の生活や感情を描いた作品が多く見られます。過激な表現は控えめで、よりリアルで共感しやすいストーリー展開が特徴です。レディースコミックに比べて、性描写は比較的少ない傾向にあります。

また、少女漫画誌と読者層が近いため、両ジャンルで活躍する作家も多く、作品世界や作風にも共通点が見られることがあります。

歴史：ティーンズ誌からレディース誌へ

ヤング・レディース雑誌の誕生には、大きく分けて2つの流れがあります。一つは、ティーンズ向けの総合情報誌（例：『女学生の友』『セブンティーン』）から派生して漫画が独立したケース。もう一つは、既存のレディースコミック誌を母体として、「ヤング」を冠した新たな雑誌が創刊されたケースです。

1975年、講談社の『mimi』がヤング・レディースの先駆け的存在として創刊されました。当時は、少女・女性向け漫画の年齢層区分が現在ほど細かくなく、ハイティーン以上の年代をターゲットとしていた点が特徴です。

1980年代半ばには、レディースコミックが全盛期を迎えました。その流れを受け、レディース誌と少女誌の間に位置する年代をターゲットにした雑誌が次々と創刊され、ヤング・レディースというジャンルが確立していきました。

しかし、1990年代後半になると、女性漫画ブームの落ち着きとともに、多くの出版社がヤング・レディース誌から撤退。2000年代に入ると、「ヤング」を冠した雑誌は『FEEL YOUNG』など、ごく一部となりました。

2010年代に入ると、レディースコミックの読者層の高齢化（40代以上が中心となる雑誌も出現）に伴い、ヤング・レディース誌の読者層も上昇しました。例えば、2020年時点の調査では、『Kiss』『Cocohana』など、主要雑誌の読者の約7割が30代以上というデータが出ています。これは、雑誌がターゲット層を意識して作品内容を変化させてきたことによる影響も考えられます。ある『Cocohana』編集者（当時）のインタビューでは、30代読者をターゲットに「人生に寄り添うような」ストーリーを心掛けたと語っています。

代表的な雑誌

現在も刊行されている代表的なヤング・レディース雑誌には、以下のものがあります。

『FEEL YOUNG』（祥伝社）
『Cocohana』（集英社）
『Kiss』（講談社）
『Cheese!』（小学館）

過去に刊行されていた雑誌には、『ヤングユー』（集英社）、『ヤングロゼ』（角川書店）、『アミ・ジュール』（双葉社）などがあります。

代表的な作家

ヤング・レディース誌で活躍する作家には、以下のような方々がいます。

有間しのぶ
一条ゆかり
伊藤理佐
羽海野チカ
小川彌生
小沢真理
おかざき真里
桜沢エリカ
谷川史子
稚野鳥子
魚喃キリコ
西村しのぶ
二ノ宮知子
ねむようこ
東村アキコ
三原ミツカズ
榛野なな恵
ヤマシタトモコ

関連ジャンル

ヤング・レディースは、少女漫画やレディースコミックと密接に関連しています。少女漫画はより若い世代を対象とし、レディースコミックはより成熟したテーマを扱うことが多いです。しかし、これら三つのジャンル間の境界線は曖昧であり、作家や作品によっては複数のジャンルにまたがることもあります。

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