ユタ (戦艦)

USS Utah (BB-31/AG-16)

概要

アメリカ海軍の戦艦「ユタ」は、フロリダ級戦艦の2番艦であり、艦名はユタ州に由来します。第一次世界大戦を経て、太平洋戦争において真珠湾攻撃で撃沈され、現在もその残骸が真珠湾に保存されています。ユタは、その戦歴と最期の役割が歴史に刻まれた艦船として知られています。

艦歴

「ユタ」の起工は1909年3月9日で、ニュージャージー州のニューヨーク造船所で建造されました。進水は同年の12月23日、艦長ウィリアム・シェパード・ベンソン大佐の指揮のもと、1911年8月31日に正式に就役しました。この艦は、フィラデルフィア海軍造船所での整調巡航の後、1912年に大西洋艦隊に配属されました。

その後、ユタは南部訓練海域で砲撃訓練を行ったり、ヨーロッパへの巡航を行ったりしました。1914年にはメキシコの政情不安を受けてベラクルスに派遣され、難民を保護する任務を果たしました。険しい戦局の中、ユタの海兵隊員たちは数々の奮闘を見せ、多くの名誉勲章を受賞しました。

第一次世界大戦とその後

1917年、アメリカは第一次世界大戦に参戦し、「ユタ」もその一翼を担いました。アイルランドのバントリー湾に展開し、連合国の輸送船団を護衛しました。戦後はニューヨークでの任務が続き、戦艦戦隊の旗艦として活動しました。また、1921年には艦番号としてBB-31に改められました。

その後、ユタは近代化改装を行い、1930年には「標的艦」へ転用されました。この改装により無線操縦装置が取り付けられ、艦は訓練での役割を果たしました。

真珠湾攻撃

1941年12月7日、「ユタ」はハワイの真珠湾で真珠湾攻撃に遭遇しました。当時、艦長や副長が不在の中、艦は南雲機動部隊に属する九七式艦上攻撃機からの魚雷攻撃で撃沈されました。艦は急激に傾いていき、乗員たちは脱出に奔走しましたが、残念ながら多くの者が艦内に留まることになりました。

この攻撃は短時間で終わりましたが、艦が横転する際に生存者の救出が試みられるも、非常に危険な状況でした。生存していた乗員たちは、艦外に出た後も周囲の機銃掃射の中、救助作業に努めました。最終的に「ユタ」は完全に横転し、多くの乗員が艦内に留まることになりました。

生存者とその後の影響

真珠湾攻撃により、「ユタ」はその戦歴において一つの象徴となりました。艦の残骸は現在も真珠湾にあり、その傾斜した姿は一つの記憶として語り継がれています。艦内には当時の乗員たちの遺体が残されており、艦そのものが墓標としての役割を果たしています。

攻撃を受けた「ユタ」及びその乗員の運命は、真珠湾攻撃後のアメリカにおける日本への憎悪を増幅させる要因となりました。艦の歴史には多くの教訓が込められており、その存在は今も多くの人に思い出される要素となっています。

メモリアル

1972年、真珠湾の「ユタ」の残骸近くには彼女を称える記念碑が建立され、多くの人々がその歴史に触れることができるようになっています。ユタによって彰しめられた歴史の重みを感じ、真珠湾攻撃の犠牲者やその後の歴史に思いを寄せることが求められます。

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