ユムシ

ユムシ（Urechis unicinctus）

ユムシは、環形動物に属するユムシ動物の一種で、海に生息する無脊椎動物です。漢字では「螠虫」と表記され、見た目の特異さから別名として「コウジ」や、地域によっては「ルッツ」「イイ」「イイマラ」と呼ばれています。英語ではその形状から「ペニスフィッシュ」と名付けられることもあります。

生息地と生態

ユムシは、主に海岸の干潟や砂泥の中に生息し、日本の他、ロシアや朝鮮半島、さらに山東半島などの地域でも見ることができます。体長はおおよそ10～30cm程度で、特に北日本の個体は比較的大きく成長します。彼らは深さ約50cmにも達するU字型の巣穴を掘り、その中で生活しています。

干潮時には自身の巣穴に隠れ、外敵から身を守る姿が見られます。ユムシの体形は細長い円筒状で、前端には吻という器官が存在し、その根元には口があります。特徴としては、付属肢や脚は持ちませんが、わずかに剛毛が付いています。脳はなく、頭部神経節のみを持つ、非常にユニークな形態の生物です。食性としては、ヒトデやナマコと同じくデトリタス（地層で分解された有機物）を主食にしています。

ユムシの利用

ユムシは食材として非常に人気があります。特に韓国では、砂地の海底で鈎状の漁具を用いて採取されたユムシは「ケブル（개불）」と呼ばれ、生食や串焼き、ホイル焼きなどの料理に用いられます。沿岸地域の人々にとっては、特別なご馳走として親しまれているようです。

中国の大連市や青島市では「ハイチャン（海腸）」として知られ、ニラなどと炒めたり、茹でて和え物にして楽しむことが多く見られます。日本でも、特に北海道の石狩市では、刺身や酢味噌和え、煮物、さらには干物としても利用されています。

ユムシは、甘味があり、コリコリとした食感を持つため、独特の風味が楽しめます。食材としての特徴は、グリシンやアラニンなど多くのアミノ酸を含んでおり、味わいはミル貝に似ていると評判です。

釣り餌としての利用

また、ユムシは釣り餌としても重宝されています。クロダイやマダイなどの釣りを楽しむ際に、特に効果的な餌として使用されることが多いです。

ユムシはその見た目や生態のみならず、食材としての多様性も持っているため、地域ごとの特色を取り入れた料理として注目されている生物です。

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