ユーゴスラビア共産主義者同盟

ユーゴスラビア 共産主義者同盟（SKJ）とは

ユーゴスラビア共産主義者同盟（SKJ）は、社会主義政権時代のユーゴスラビアにおける一党独裁政党であり、共産主義政党です。その歴史は、前身の政党から数えると非常に長く、複雑な変遷を辿ってきました。

党名の変遷

SKJは、その歴史の中で党名を何度か変更しています。以下にその変遷を示します。

1919年 - 1920年：ユーゴスラビア社会主義労働党-共産主義派
セルボクロアチア語（キリル文字）：Социјалистичка радничка партија Југославије (комуниста)
セルボクロアチア語（ラテン文字）：Socijalistička radnička partija Jugoslavije (komunista)
英語：Socialist Labor Party of Yugoslavia (Communist)
1920年 - 1952年：ユーゴスラビア共産党
セルボクロアチア語（キリル文字）：Комунистичка партија Југославије
セルボクロアチア語（ラテン文字）：Komunistička partija Jugoslavije
英語：Communist Party of Yugoslavia
1952年 - 1990年：ユーゴスラビア共産主義者同盟
セルボクロアチア語（キリル文字）：Савез комуниста Југославије
セルボクロアチア語（ラテン文字）：Savez komunista Jugoslavije
英語：League of Communists of Yugoslavia

党史

前身政党の結成と非合法化

第一次世界大戦後、セルブ＝クロアート＝スロベーヌ王国が建国され、後にユーゴスラビア王国と改称されました。この混乱期に、ロシアの十月[[革命]]の影響を受け、国内の社会民主主義政党が結集し、1919年にユーゴスラビア社会主義労働党-共産主義派（SRPJ-k）が創設されました。SRPJ-kは、コミンテルンに参加し、国内では議会選挙で勢力を拡大しましたが、1920年にユーゴスラビア共産党（KPJ）と改称しました。KPJは、ストライキやデモといった大衆運動を通じて支持を広げ、共産主義革命を目指しましたが、1921年に非合法化されました。

地下活動

非合法化後、KPJは地下活動を余儀なくされました。1926年、1928年には秘密会合を招集するなど、勢力を保とうと努めましたが、党員は衰退し、1929年には独裁的なアレクサンダル1世の登場により、弾圧が強化されました。KPJ党員はソ連へ亡命しましたが、スターリンによる大粛清の対象となり、KPJは組織として崩壊の危機に瀕しました。

反ファシズム闘争と祖国解放

1937年、ヨシップ・ブロズ・チトーがKPJ書記長に就任し、党の指導権を掌握しました。チトーは、コミンテルンの指導を受けつつ、反ファシズム闘争への準備を進めました。第二次世界大戦中、ユーゴスラビアは枢軸国に占領され、傀儡国家が作られる中、チトー率いる共産主義者たちは、国王支持派などを取り込み、パルチザン勢力を結成しました。イギリスやアメリカの支援も得て、1945年にユーゴスラビアを解放しました。この解放は、ソ連軍の支援なしに達成されたため、後のユーゴスラビアとソ連の関係に大きな影響を与えることになります。

政権獲得と自主管理社会主義

1945年 11月、選挙でKPJを中心とする人民戦線が勝利し、ユーゴスラビア連邦人民共和国が成立、チトーが首相兼国防相に就任しました。1948年、KPJはソ連追従政策を転換し、独自の自主管理社会主義路線を採用しました。この決定は、スターリンの逆鱗に触れ、コミンフォルムから追放、コメコンからも除名されました。自主管理社会主義は、労働者による経済自主管理システムを導入し、党と国家の分権化を図ったもので、他の社会主義諸国からは批判されましたが、西側諸国からは好意的に受け止められました。1952年、KPJはユーゴスラビア共産主義者同盟（SKJ）と改称しました。その後は、チトーの個人指導体制が1980年まで続きました。

チトーの死後とSKJの解体

1980年、チトーの死後、SKJは集団指導体制に移行しましたが、チトーのカリスマ性が失われたことで、急速に求心力を失いました。連邦を構成する各共和国の共産主義者同盟の権限を拡大するなどの対策も効果はなく、民族主義の高まりとともに、SKJの指導力は崩壊しました。1990年、セルビアとスロベニアの共産主義者同盟がSKJから離脱し、SKJは分裂・解体しました。

分裂後

SKJ解体後、各共和国の共産主義者同盟は、それぞれ社会民主主義政党や社会党へと改組されました。セルビアではセルビア社会党、クロアチアではクロアチア社会民主党、マケドニアではマケドニア社会民主同盟、スロベニアでは社会民主党、ボスニア・ヘルツェゴビナではボスニア・ヘルツェゴビナ社会民主党、モンテネグロではモンテネグロ社会主義者民主党が設立されました。

後継政党

SKJの解体後も、その路線を受け継ぐ動きがあり、ユーゴスラビア新共産党（NKPJ）などが設立されましたが、かつてのSKJの影響力には遠く及ばず、衰退しました。

歴代書記長

フィリップ・フィリポビッチ (1919年 - 1920年)
シマ・マルコビッチ (1920年 - 1928年)
ヨシップ・チジンスキー (1928年 - 1930年)
ミラン・ゴルキッチ (1930年 - 1936年)
ヨシップ・ブロズ・チトー (1937年 - 1980年)
集団指導体制 (1980年 - 1990年)

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