ユーストア

ユーストア（U-STORE）とは

ユーストアは、かつてユニーグループが展開していたスーパーマーケットのブランド名であり、その運営会社でもありました。この記事では、店舗ブランド「ユーストア」を中心に、かつて存在した法人「株式会社ユーストア」についても詳しく解説します。

概要

ユーストアは、ユニーが大規模小売店舗法への対策として設立した子会社、株式会社ユーストアによってミニGMSとしてスタートしました。その後、ユニーに吸収合併され、店舗ブランドの転換によりその名前を消滅させました。
最盛期には、愛知県、岐阜県、三重県、静岡県、滋賀県、京都府の1府5県に店舗を展開していました。

株式会社ユーストア

株式会社ユーストアは、かつてスーパーマーケット「ユーストア」を運営していた企業です。2008年8月にユニー株式会社（初代）に吸収合併され、解散しました。

設立当初から、店舗は株式会社ユーストアによって出店され、ユニー株式会社による運営を経て、店舗ブランド転換により一度消滅しました。

吸収合併時点では、1府5県に72店舗（愛知県42、岐阜県5、三重県8、静岡県11、滋賀県5、京都府1）を展開し、初代ユニー株式会社運営時代の最終店舗数は、その後の滋賀県への新規出店により73店舗でした。

株式会社ユーストアは、店舗を集中的に展開する「ドミナント戦略」を重視し、ユニーグループの本拠地である愛知県名古屋市郊外から出店を開始しました。

1993年11月19日には、静岡県浜名郡新居町（現：湖西市）に新居店を出店し、静岡県に進出。当初の1、2年間で10店舗を開業し、静岡県でのドミナントを構築しようとしました。この静岡県への進出を足掛かりに首都圏への出店も目指していましたが、実現には至りませんでした。

歴史

設立から小売業屈指の優良企業へ

株式会社ユーストアは、低コストによる未開発地域への店舗開発を基本とし、郊外を主なターゲットとして店舗展開を行うことで、鮮度の良い商品を安く提供する経営方針を掲げていました。

既成の市街地や商店街といった不動産価格の高い地域への出店を避け、人通りが少なくても地価が安く、広い敷地を確保できる郊外の田園地帯などに、近隣から自動車で来店しやすい道路状況になっている地区に広めの駐車場を併設した店舗を出店する戦略を採用しました。

広めの駐車場を持つ平屋建ての店舗を郊外に多数展開する戦略は、1972年にアメリカで見学したKマートの急速な店舗拡大に着目したことがきっかけでした。当時Kマートが展開していた出店形式を参考にしています。

この形式での店舗として、株式会社ユーストア設立前にユニー本体がユーマート大樹寺店（のちのユニー大樹寺店）を開店し、実際に営業する実験を行った後に会社を立ち上げる形となりました。

1974年から施行された大規模小売店舗法への対応策として誕生した側面もあり、布袋店（売場面積1,453m2）や蟹江店（売場面積1,467m2）のように、設立当初は規制対象の売場面積約1,500m2を下回る規模で出店していました。

しかし、1982年以降は売場面積500～1,500m2の店舗も規制対象となったため、法律の規制を避けて出店するという目的にはあまり役立たない形となりました。

そうした目論見違いもあったものの、会社設立から1993年5月まで約17年間社長を務めた家田美智雄は、低コスト路線を徹底することで高収益企業へと成長させたとされています。設立初年度から家田の社長在任中は毎年増収を記録し続けました（この連続増収記録は2005年2月期決算まで28期続きました）。

また、この間には店舗の閉鎖も行わず、出店した全店舗を営業し続けました。その結果、1990年代初めごろには「大手総合スーパー系列の食品スーパーとしては唯一の成功例」と評されるほど成長し、業界の注目を集め、イトーヨーカ堂やしまむらなどと共に日本の小売業界を代表する優良企業と呼ばれるようになりました。

低コストを実現するため、年間売上高が約500億円で店舗数が19店に達していた1987年10月時点でも本部はわずか16名で運営し、生鮮食料品が多く必然性が低いとして販売時点管理システム（POS）の導入も家田の社長時代には行われませんでした。

一方で、鮮度の良い商品を安く提供することを目指し、「定休日前に売り尽くしをすることで、冷凍ケースなどの清掃を行い、休み明けの木曜日から鮮度の良い商品の販売を行う」という考えのもと、当時の定休日であった水曜日の前日に「火曜特売」を実施するようになりました。これは当時社長だった家田美智雄の発想によるもので、のちにユニーグループ全体で行われるようになりました。

こうした低経費・高効率の経営体質を作り上げたことから、家田美智雄はユーストアの社長を退任する頃には“怪物”の異名をとるほどの名物経営者として知られるようになりました。

家田の退任から吸収合併・商号消滅へ

家田美智雄の退任後も、後任の経営陣は低経費・高効率の経営路線を維持するとしましたが、1995年10月には全店に販売時点管理システム（POS）を導入するなど、一部で経営戦略が転換されました。

一方で、2002年2月期には自家発電装置を店舗に導入するといった新たなコスト削減策も取られました。しかし、競争激化により、2005年には初の店舗閉鎖に踏み切るなど、方向転換も図られました。

2005年2月期決算まで28期続いた連続増収記録は、2006年2月期決算で途絶え、同年度は創業以来初の最終赤字に転落しました。その後、少し持ち直して2007年2月期決算は2期ぶりの増収、4期ぶりの経常増益となりましたが、当期損益では約2.2億円の損失と赤字が続きました。

2008年2月期中間決算では、競合激化により前年割れ店舗が大幅に増加したことなどから、減損会計処理を行い、中間純利益は37.79億円の損失となりました。

結局2008年2月期決算は、競争激化の影響で既存店売上高が約3.5%減、全店でも売上高が約2.2%減と落ち込み、発注見直しなどの経費削減やユニーグループのPB商品の拡充による粗利益率の改善にもかかわらず、減損損失を約71.22億円計上したことが影響し、当期純利益は約31.97億円の損失と3期連続の赤字で最後の年間決算を終えることになりました。

本社はグループの機能集約に伴い、2002年6月にユニー本社と同じ場所に移転しています。

2008年4月10日、同年8月21日にユニーと合併すると発表しました。そして、2008年8月21日、株式会社ユーストアは予定通りユニーに吸収合併され、企業名としては消滅。組織・店舗運営はユニー内で再編したユーストア営業本部が継承することになりました。

合併時点では店舗ブランドの「ユーストア」は存続しており、合併後の2008年11月21日にはフォレオ大津一里山内にユーストア一里山店を出店しています。この店舗ではユーストアのロゴマークをローマ字の黄色のものへと変更しました。

その後、ユニー・ユーストア・ラ フーズコア・アピタ食品館の店舗ブランドを統合し、翌年2月21日から店舗ブランドを「ピアゴ」とすることにより、店名としてもユーストアは消滅することになりました。なお、精華台店のみは「アピタ」に転換しており、変更時期も他店よりも少し遅れる形となりました。

沿革

1977年（昭和52年）
6月2日 - 会社設立。設立時の本社は愛知県名古屋市中村区。
10月 - 愛知県海部郡蟹江町に1号店、蟹江店（現：ピアゴ蟹江店）を出店。
1979年（昭和54年）1月 - 三重県桑名市に星川店を出店し、三重県に進出。
1981年（昭和56年）
10月 - 翌年1月にかけて、商品部門と本社機能を愛知県海部郡佐織町（現：愛西市）の勝幡店向かいの建物（旧：中部貿易梱包ビル）に順次移転。
11月13日 - 岐阜県本巣郡穂積町（現：瑞穂市）に穂積店を出店し岐阜県へ進出。
1986年（昭和61年）12月 - 星川店、建て替え。ユーストアとしては初の建て替えとなった（現：MEGAドン・キホーテUNY星川店）。
1988年（昭和63年）
5月 - 本店登記を中村区から佐織町に移転。
6月 - 静岡県への進出・出店調査・準備のため浜松市上島（現：浜松市中央区）に東部開発室を設置。
9月 - 関東地区への進出を目指し、出店調査・準備をするため東松山市若松町に関東事務所を設置。
1989年（平成元年）
1月 - 久保田店、店舗建て替え（現：ピアゴ久保田店）。
12月 - 名古屋証券取引所第二部に上場する。
1990年（平成2年）
7月 - 東部開発室を静岡開発室に名称変更し、静岡市南安倍（現：静岡市駿河区）に移転。
11月 - インストアブランドの「ユーシャレオ」開始。非食品フロアで使用。
1991年（平成3年）6月 - 上和田店、店舗建て替え（現：ピアゴ上和田店）。
1992年（平成4年）3月 - フラワーショップ「ユーフラワー」の営業を開始。
1993年（平成5年）
6月 - 関東事務所を閉鎖。
11月19日 - 静岡県浜名郡新居町（現：湖西市）に新居店を出店する（静岡県への初の出店）。
1995年（平成7年）
2月 - 静岡開発室を東部開発室に再度名称変更し、袋井市新池に移転。
5月 - 滋賀県へ進出、出店調査・準備のため栗太郡栗東町（現：栗東市）に西部開発室第三部を設置。
11月 - 布袋店、店舗建て替え（現：ピアゴ布袋店）。売場面積1,453m2 → 4,333m2。
1997年（平成9年）12月 - 勝幡店、店舗建て替え（現：MEGAドン・キホーテUNY勝幡店）。売場面積1,439m2 → 5,072m2。
1999年（平成11年）12月 - 東京証券取引所第二部に上場する。
2000年（平成12年）3月 - 滋賀県甲賀郡水口町（現：甲賀市）に水口店を出店し、滋賀県へ進出。
2002年（平成14年）6月 - 本社を海部郡佐織町から稲沢市のユニー本社内に移転。
2003年（平成15年）3月 - 食品部門の青果部より緑花（ユーフラワー）を部門として独立。
2005年（平成17年）11月3日 - 京都府相楽郡精華町のユータウンけいはんなに精華台店（現：MEGAドン・キホーテUNY精華台店）を出店し、京都府へ進出。
2008年（平成20年）
4月 - 親会社であるユニー株式会社と合併契約を締結。
8月21日 - ユニーに吸収合併される。
11月21日 - ユニーとの合併後初の新規店舗として、滋賀県大津市の商業施設フォレオ大津一里山内にユーストア一里山店(現ピアゴ一里山店)を出店。また、この店舗ではユーストアのロゴマークをローマ字の黄色のものへと変更した。
2009年（平成21年）
2月21日 - 1店舗を除き、店舗ブランドを「ピアゴ」に改称。
6月19日 - ユーストア精華台店をアピタ精華台店に改装、および改称。ユーストアブランド消滅。
2011年（平成23年）9月23日 - ユーストア1号店だったピアゴ蟹江店が建て替えを行う。
2020年（令和2年）12月4日 - 食の殿堂ユーストアとしてブランド復活。ピアゴ ラ フーズドラッグ萱場店（名古屋市千種区）を改装の上、リニューアルオープン。

店舗

2009年に一度ブランドが消滅する前の最終店舗数は東海地方を中心として73店舗展開されていました。

過去に存在した株式会社ユーストア運営の店舗

愛知県
浦里店（名古屋市緑区、1982年11月26日開店 - 2005年5月10日閉店）
牛巻店（名古屋市瑞穂区、2002年3月1日開店 - 2005年5月22日閉店）
十一屋店（名古屋市港区、2000年11月23日開店 - 2008年2月19日閉店）
岐阜県
岐南店（羽島郡岐南町、1987年5月29日開店 - 2006年1月10日閉店）
安八店（安八郡安八町、2000年2月25日開店 - 2008年3月20日閉店）
静岡県
新居店（浜名郡新居町、1993年11月19日開店 - 2006年2月14日閉店）

出店を断念した店舗

高富店（岐阜県山県郡高富町、1990年）
滝の水店（名古屋市緑区大形山、1996年）

過去に使用していた店舗ブランド

しんせん

過去に使用していたインストアブランド

ユーシャレオ

合併直後に引継がれたインストアブランド

パレット → のちのベルファーニス
レッドウッド → のちのアーバンウッド
パンデコマ
ユーフラワー

統一ブランド化に伴う店舗名変更

ユーストア阿久比店 → ピアゴ阿久比北店
ユーストア碧南店 → ピアゴ碧南東店
ユーストア長久手店 → ピアゴ長久手南店

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