ユーリ・テミルカーノフ

ユーリー・ハトゥエヴィチ・テミルカーノフ（1938年12月10日 - 2023年11月2日）は、ロシアの著名な指揮者でした。

生涯

カバルダ・バルカル共和国のナリチクで生まれたテミルカーノフは、音楽の才能を開花させ、サンクトペテルブルク音楽院でヴァイオリンとビオラを学びました。その後、レニングラード音楽院でオーケストラと指揮を学び、イリヤ・ムーシンに師事しました。

1965年にミハイロフスキー劇場でデビューし、ヴェルディのオペラ『椿姫』を指揮しました。1968年から1976年までレニングラード交響楽団（現サンクトペテルブルク交響楽団）の首席指揮者を務め、1977年から1988年までキーロフ劇場（現マリインスキー劇場）の芸術監督・首席指揮者を務めました。1988年からは、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団の音楽監督兼首席指揮者として、長年にわたり楽団を率いました。

テミルカーノフは、1978年からロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団に定期的に客演し、1992年に同楽団の首席指揮者に、1998年には桂冠指揮者に任命されました。また、1998年からはボルティモア交響楽団の音楽監督も務め、国際的に活躍しました。

レパートリーと音楽性

チャイコフスキー、ラフマニノフ、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチなど、ロシア音楽のレパートリーを得意としていました。その演奏は、情熱的で力強く、聴衆を魅了しました。日本人ヴァイオリニストの庄司紗矢香とは、2001年以来、世界各地で共演を重ね、深い信頼関係を築きました。

近年は、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団を率いて、ヨーロッパや日本で精力的に公演を行っていました。2006年の来日公演では、ショスタコーヴィチのオラトリオ『森の歌』を、スターリンを賞賛するオリジナルのテクストを用いて演奏し、話題を呼びました。2008年の来日公演では、「テミルカーノフ70歳記念・チャイコフスキー・フェスティバル」と題し、チャイコフスキーの連続演奏会を開催しました。

2023年11月2日、84歳で死去。その音楽は、世界中の多くの人々に感動を与え、記憶されることでしょう。

参考文献

Хагарова Д., Юрий Темирканов. Монолог, Скифия, СПб, 2013г. (ハガロワ D.『ユーリー・テミルカーノフ：独白』スキフィア、サンクトペテルブルク、2013年)

外部リンク

2013年インタビュー(ぶらあぼ)
* サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団HP

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