サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団

サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団（ロシア語: Заслуженный коллектив России Академический симфонический оркестр Санкт-Петербургской филармонии）は、ロシア連邦サンクトペテルブルクを本拠地とする、同国を代表するオーケストラの一つです。その名称は、ロシア語で「サンクトペテルブルク・フィルハーモニアのロシア功労団体たる学術的交響楽団」を意味します。本拠地はサンクトペテルブルク・フィルハーモニアにあります。

楽団の起源と初期の歴史

このオーケストラのルーツは、1772年に設立されたペテルブルク音楽協会にまで遡ります。1802年にはペテルブルク・フィルハーモニー協会へと再編成され、1824年にはルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの荘厳ミサ曲『ミサ・ソレムニス』の世界初演を担いました。

現代のサンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団は、1882年に設立された楽団を直接の起源としています。設立当初は宮廷管弦楽団でしたが、次第に一般向けのコンサートを増やしました。この時期には、ミリイ・バラキレフやアレクサンドル・グラズノフといったロシアの作曲家兼指揮者が指揮台に立ちました。また、アルトゥール・ニキシュやリヒャルト・シュトラウスなども客演しました。

ロシア革命とその後の変遷

1917年のロシア革命は、宮廷管弦楽団に改組をもたらしました。初代常任指揮者にはセルゲイ・クーセヴィツキーが迎えられます。1920年には「ペトログラード国立フィルハーモニー交響楽団」と改称し、1924年にレニングラードと改称されると「レニングラード・フィルハーモニー交響楽団」となりました。

ムラヴィンスキー黄金期

レニングラード・フィルの歴史において、黄金時代を築いたのがエフゲニー・ムラヴィンスキーです。1938年、当時35歳であったムラヴィンスキーが常任指揮者兼音楽監督に就任し、その後の約半世紀（1988年まで）を務め上げました。彼の指揮の下、レニングラード・フィルはソヴィエト最高峰、世界屈指のオーケストラへと躍進しました。ムラヴィンスキー時代には、クルト・ザンデルリング（1941年加入）やアルヴィド・ヤンソンス（1952年加入）といった優れた指揮者も楽団に加わりました。

ソ連崩壊後の再出発とテミルカーノフの時代

1991年、ソヴィエト連邦の崩壊により、都市名がサンクトペテルブルクに復帰したことに伴い、楽団の名称も「サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団」へと改称されました。1988年から楽団の芸術監督・首席指揮者を務めたユーリ・テミルカーノフは、30年以上にわたりこのポストに就き、楽団の伝統を受け継ぎました。

現在の体制と日本公演

ユーリ・テミルカーノフが2023年まで芸術監督を務め、2022年からはニコライ・アレクセーエフが首席指揮者に就任し、楽団の指揮を執っています。

レニングラード・フィルは日本にも度々来日しました。初来日は1958年でした。その後1970年にも来日しましたが、いずれもムラヴィンスキーを伴いませんでした。ムラヴィンスキー指揮による初来日は1973年のことです。その後、1975年、1977年、1979年とムラヴィンスキーと共に来日しました。1986年10月にも来日し、この時はマリス・ヤンソンスの指揮で東京のサントリーホールにて公演を行いました。この時の演奏は、NHKテレビでも放送されました。当初ムラヴィンスキーが来日予定でしたが、病気を理由にキャンセルされ、ヤンソンスが指揮を執りました。

歴代主要指揮者

ゲルマン・フリーゲ (1882-1907)
ギューゴ・ヴァルリフ (1907-1917)
セルゲイ・クーセヴィツキー (1917-1920)
エフゲニー・ムラヴィンスキー (常任指揮者・音楽監督, 1938-1988)
ユーリ・テミルカーノフ (芸術監督, 1988-2023)
ニコライ・アレクセーエフ (首席指揮者, 2022-)

その豊かな歴史と伝統は、現在もサンクトペテルブルク・フィルの重要な基盤となっています。

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