ユーリー3世 (モスクワ大公)

ユーリー・ダニーロヴィチの生涯

ユーリー・ダニーロヴィチ（1281年 - 1325年）は、モスクワ大公およびウラジーミル・スーズダリ大公として重要な役割を果たした歴史的人物です。彼は初代モスクワ大公であるダニール・アレクサンドロヴィチの長男であり、1303年から1325年までモスクワの大公として統治しました。また、ウラジーミル・スーズダリ大公としてはユーリー3世としても知られています。

初期の経歴

ユーリーの政治活動は、1303年にウラジーミル大公アンドレイ3世のペレスラヴリ・ザレスキーへの攻撃を防いだことから始まります。この年、アンドレイ3世が死去し、その後彼はウラジーミル大公位を巡ってトヴェリ公ミハイル・ヤロスラヴィチと争ったものの、ユーリーの要求には正当性が乏しく、トヴェリ軍によってモスクワとペレスラヴリが包囲される事態となりました。

その後、ミハイルは金帳汗国へ赴き、ハーンのトクタからロシア諸公の間での最高の地位を認証されました。この時期、ユーリーは元リャザン公コンスタンティン・ロマノヴィチを暗殺するという過激な行動を起こしました。コンスタンティンは彼の父、ダニールによって捕らえられた囚人でした。

政治的同盟の形成

続いて、ユーリーはリャザン公国のコロムナ要塞やスモレンスク公国のモジャイスクを併合し、1314年までにはノヴゴロド公国とトヴェリに対抗する同盟を結成しました。1315年には金帳汗国を訪れ、2年間の滞在を経てウズベク・ハンとの結婚によってウラジーミル大公に任命されるという重要な地位を得ました。しかし、彼はトヴェリとの戦闘に敗北し、妻や兄弟とともに捕虜になってしまいます。

戦争と混乱

ユーリーはノヴゴロドに逃れ和平を求めましたが、妻クンチェクは捕虜となり、その後不幸にも命を落としてしまいます。その混乱に乗じ、ユーリーはウズベク・ハンに対し彼女がミハイルの命令で毒殺されたと報告し、その結果ミハイルは召喚され、裁判の末に処刑されました。これにより、ユーリーはロシアの諸公と民衆から強い反感を買うこととなります。

最後の時期と死

1319年にユーリーはロシアに戻りますが、彼は前述の事件により人々の信頼を失ったままでした。1322年、ミハイルの息子ドミトリー・ミハイロヴィチがユーリーに対して復讐を企て、彼が税を横領していると報告した結果、ユーリーは罪に問われることになりますが、裁判が始まる前にドミトリーによって殺されました。彼自身もその8か月後に処刑されることになります。

ユーリーは、ノヴゴロド軍を率いてスウェーデンと戦い、1323年にはネヴァ川の河口での要塞を築くなどして彼の業績を示していますが、彼の人生は様々な争乱に彩られていたことが明らかです。彼の死後、モスクワ公位は弟のイヴァン1世に引き継がれました。ユーリーの生涯は、中世ロシアの複雑な政治的状況を反映したものとなっています。

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