ユーロコプター X3

ユーロコプター X3の概要

ユーロコプター X3（Eurocopter X3）は、エアバス・ヘリコプターズ社が手掛ける実験的な複合ヘリコプターです。目標とする飛行速度は220ノット（約250 mph、410 km/h）を超えるもので、その性能を実証するために設計されています。

開発の背景

X3はユーロコプター EC 155を基盤にしており、この機体には牽引式プロペラを装備した小翼が付けられています。このプロペラは、2基のターボシャフトエンジンによって駆動され、同時に5枚ブレードのメインローターも動かします。X3では、小翼が揚力の一部を引き受けることでメインローターの負荷を軽減することに成功しています。これにより、ローターの回転数が抑えられ、前進側のブレードにかかる抗力が減少し、後退側のブレードの失速も防げるというコンセプトが実証されています。

飛行速度が上がると、小翼によって生成される揚力も増大し、メインローターの回転数は最低でも15%まで減少することが確認されています。この性能を持つX3は、高速ヘリコプターとしては画期的な試験機として位置づけられています。

初飛行と速度記録

X3は2010年9月6日にフランスのイストルル・テュベ空軍基地にて初めて空を飛び、その後2011年5月12日には430 km/h（267 mph）の速度を記録しました。これにより、高速飛行における性能の確証が得られるとともに、複合ヘリコプターの新たな可能性を示唆する結果となりました。

アメリカ陸軍への提案

アメリカ陸軍では、「統合多用途・将来型垂直離着陸機計画」（JMR / FVL）に基づく新しい軍用ヘリコプターの開発が進められていました。エアバス・グループは、X3を基にした統合多用途ヘリコプターの技術概念実証を提案する予定でした。しかし、知的財産権の移転が求められる可能性があったため、2013年5月には提案を辞退しました。その後、軽武装・偵察ヘリコプター（AAS）計画に焦点を移しましたが、この計画も最終的に入札が取り消されることになりました。

エアバス社は、高速回転翼航空機の開発に必要な費用が、当初の資金調達額7,500万米ドルを大きく上回ることを指摘しています。X3の提案は、そのデザインに完全に依存するものではなく、技術の一部を活かしたものでありました。また、アメリカ陸軍が特定の要件を策定した場合にのみFVL提案を行うことができるため、これもその他の競争企業に対して不利な要因となっていました。

主要仕様

• - 定員: 乗員2名
• - エンジン: 2 × ロールス・ロイス/チュルボメカ RTM322|ロールス・ロイス_チュルボメカ RTM322 ターボシャフトエンジン（2,270 shp / 1,693 kW）
• - 巡航速度: 407 km/h (220 knots)
• - 巡航高度: 3,810 m (12,500 ft)

関連項目

• - ユーロコプター AS 365 ドーファン
• - ユーロコプター EC 155
• - フェアリー ロートダイン
• - カモフ Ka-92
• - ミル Mi-X1
• - 統合多用途・将来型垂直離着陸機計画 (JMR / FVL)
• - パイアセッキ X-49
• - シコルスキー X2
• - ヘリコプターの一覧

ユーロコプター X3はその革新的な設計と技術を持つため、今後の航空機開発において注目される存在であり続けるでしょう。

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