ヨアシュ (イスラエル王)

ヨアシュの生涯と治世

ヨアシュ（ヘブライ語: יהואש‎ Yəhō’āš）は、北イスラエル王国の第12代の王であり、エフー（イエフ）王朝の第3代にあたります。彼の名前はヘブライ語で「ヤハウェが与える」という意味を持ち、重要な宗教的背景を示しています。ヨアシュは、彼の父であるヨアハズ（エホアハズ）の子として生を受け、紀元前798年に王位を継承し、16年間にわたり治世を行いました。

王としての彼の業績の一つは、偶像礼拝の伝統を引き継いだことです。これは、彼の先代であるヤロブアム王と同様に、北イスラエルの歴史における重要な側面となっています。しかしながら、ヨアシュは預言者エリシャに対して尊敬を抱いていました。特に、晩年のエリシャを訪問した際、エリシャから弓を射るよう命じられ、アラムに対する勝利が告げられる場面は印象的です。この時、エリシャの怒りもさまざまな解釈を生むことがありますが、彼の心情を知ることができる貴重なエピソードです。

ヨアシュの治世において、北イスラエルの領土は祖父のエフーや父のエホアハズの時代にはアラムに奪われていましたが、アッシリアがアラムを征服し、その国が衰退していく過程で、ヨアシュは領土を取り戻すことに成功します。特に、アラムのベン・ハダデとの戦闘で勝利を収めることができ、北イスラエルの国力を再び高めたのです。

また、ヨアシュは他の国との関係にも積極的であり、南のユダ王国の王アマツヤからの挑戦にも応じました。ベテ・シェメシュの戦いでは大きな勝利を収め、アマツヤを捕獲しエルサレムに侵攻、その後サマリアに凱旋しました。このように、彼は戦争の中で大きな成功を収め、自らの地位を確立していきました。

しかし、ヨアシュについての評価は分かれます。『列王記』では、他の北イスラエルの王たちと同じように「主の御前に悪を行った」とされていますが、フラウィウス・ヨセフスの『ユダヤ古代誌』では、彼は北イスラエル王の中で唯一良い評価を受けています。そこでは彼の性格が父とは正反対であり、徳高い君子として称賛されています。

このように、ヨアシュは北イスラエルの歴史の中で重要な位置を占めており、その治世は戦争と勝利、また宗教的な対立を背景にした複雑なものでした。彼の業績や性格は後の歴史にも影響を与え、さまざまな視点から研究され続けています。

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