ヨハネス2世ドゥーカス

ヨハネス2世ドゥーカス（生年不詳 - 1318年）は、14世紀初頭のテッサリア君主国の尊厳公（セバストクラトル）でした。父コンスタンティノス・ドゥーカスの跡を継ぎ、テッサリアを統治しましたが、その治世は周辺大国の思惑とテッサリア内部の権力闘争に翻弄されるものでした。

生涯

1303年、ヨハネス2世は父の死後、尊厳公の位を継承しました。当初は、父の同盟者であり、叔父にあたるアテネ公ギイ2世ド・ラ・ロシュの後見を受けました。しかし、1308年にギイが死去すると、状況は大きく変化します。

ヨハネス2世は、東ローマ帝国皇帝アンドロニコス2世パレオロゴスの娘、エイレーネーを妻に迎えました。これは、東ローマ帝国がテッサリアを併合するための策略の一環でした。ヨハネス2世自身は病弱であり、実権はテッサリアの有力貴族たちによって掌握されていました。彼らは、東ローマ帝国の支配を嫌い、隣国のアテネ公国と同盟を結び、その君主をヨハネス2世の後見人にすることで、テッサリア君主国の存続を図りました。

1318年、ヨハネス2世は後継者を残さずに死去しました。これにより、東ローマ帝国はテッサリアの併合を開始しました。しかし、ドゥーカス・コムネノス・アンゲロス家とは血縁関係にないステファノス・ガヴリイロプロスが尊厳公を名乗り、独立政権を樹立して抵抗を続けました。また、エピロス専制公ジョヴァンニ2世オルシーニもテッサリアに干渉を重ねました。東ローマ帝国がテッサリアの併合を完了するのは、1335年頃のことでした。

ヨハネス2世の治世は、テッサリアが東ローマ帝国、アテネ公国、エピロス専制公国といった周辺勢力の思惑が交錯する中で、独立を維持しようと苦闘した時代でした。彼の死後、テッサリアは帝国の支配下に置かれることになりましたが、その抵抗の火種はしばらくの間、くすぶり続けることになります。

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