アテネ公国

アテネ公国：中世ギリシャに存在した十字軍国家

アテネ公国（ギリシア語: Δουκάτον Ἀθηνών）は、13世紀初頭、第4回十字軍によって東ローマ帝国が占領された後に成立した国家の一つです。現在のギリシャ共和国、アッティカ地方およびボイオーティア地方を領土とし、15世紀にオスマン帝国に併合されるまで存続しました。

建国と初期

公国の創始者は、第4回十字軍に参加したブルゴーニュ伯軍の騎士、オトン・ド・ラ・ロッシュです。1205年にアテネ公国を建国し、「アテネ公爵」を名乗りました。当初はテッサロニキ王国に従属していましたが、1224年にテッサロニキがエピロス専制公国に占領されると、アカイア公国の封臣となりました。アテネ公国はアッティカ半島を統一し、テッサリア地方の一部にまで領土を拡大しました。

カタルーニャ人支配

ラ・ロッシュ家による支配は14世紀初頭まで続き、その後、ブリエンヌ家のゴーティエ5世が継承しました。しかし、ゴーティエ5世はアルモガバル傭兵隊を雇い入れたものの、後に彼らを殺害しようとしたため、1311年のアルミュロスの戦いで戦死しました。この後、公国はカタルーニャ人の支配下に入り、公用語や法律もカタルーニャのものに置き換えられました。

1318年と1319年には、カタルーニャ人のアテネ公国はシデロカストロンとテッサリア南部を征服し、ネオパトラス公国を建国しました。しかし、テッサリア南部は1337年にセルビア王国に占領されました。

衰退と滅亡

1379年、ナバラ傭兵団がテーベとネオパトラス公国の一部を征服しましたが、カタルーニャ人のアテネ公国はネオパトラス公国の他の地域とアッティカ地方を保持し続けました。1388年からはフィレンツェのアッチャイオーリ家が公国を買収し、1390年にはネオパトラス公国を併合しました。1395年から1402年まではヴェネツィア共和国の支配下に入り、1444年にはモレアス専制公領のコンスタンティノス・パレオロゴスに従属しました。

1453年のコンスタンティノープル陥落後、1456年にオスマン帝国のメフメト2世によってアテネ公国は征服され、滅亡しました。しかし、「アテネ公」の称号はその後もアラゴン王国内で使用され続け、現代のスペイン王室も継承しています。

アテネ公国内のローマ・カトリック教会

フランス人による支配以降、アテネにはコンスタンティノポリス総大司教の下に大司教が置かれました。パルテノン神殿は聖母マリアのための教会となり、正教会は地下組織として存続しました。カタルーニャ人のアントニオ・バレステルが大司教として重要な役割を果たしました。

アテネ公国の君主

ラ・ロッシュ家

オトン・ド・ラ・ロッシュ（1205年 – 1225年）
ギー1世（1225年 – 1263年）
ジャン1世（1263年 – 1280年）
ギヨーム1世（1280年 – 1287年）
ギー2世（1287年 – 1308年）

ブリエンヌ家（名目上）

ゴーティエ5世（1308年 – 1311年）
ジャンヌ・ド・シャティヨン（1311年 – 1354年）
ゴーティエ6世（1311年 – 1356年）
イザベル・ド・ブリエンヌ（1356年 – 1360年）
ソイエール・ダンギャン（1356年 – 1367年）
ゴーティエ4世・ダンギャン（1367年 – 1381年）
ルイ・ダンギャン（1381年 – 1394年）

カタルーニャ人（アラゴン王国）の支配

ロヘリオ・デスロール（1311年 – 1312年）
マンフレド（1312年 - 1317）
ベレンゲル・エスタニョール（1312年 - 1317）
ギジェルモ2世（1317年 – 1338年）
アルフォンソ・フレデリーコ（1317年 – 1338年）
ジョアン2世（1338年 – 1348年）
フェデリーコ1世（1348年 – 1355年）
フェデリーコ2世（1355年 – 1377年）
マリア（1377年 – 1388年）

アラゴン王国の直接支配

マテオ・ド・モントカーダ
ロヘリオ・ド・ルリア
マテオ・ド・ペラルタ
ルイス・フェデリーコ
ダルマオ4世ロカベルティ
ベルナート・ド・コルデーリャ

アッチャイオーリ家

ネリオ1世（1388年- 1394年）
アントニオ1世（1394年 – 1395年）
ヴェネツィア共和国領（1395年 – 1402年）
アントニオ1世（復位、1402年 – 1435年）
ネリオ2世（1435年 – 1439年）
アントニオ2世（1439年 – 1441年）
ネリオ2世（復位、1441年 – 1451年）
クレール・ジョルジョ（1451年 – 1454年）
バルトロマオ・コンタリーニと共同統治（1451年 - 1454年）
フランチェスコ1世（1451年 - 1454年）
フランチェスコ2世（1455年 - 1458年）

アテネ公国は短命ながらも、中世ギリシャの歴史において重要な役割を果たしました。その文化、政治、そして宗教は、後の時代に大きな影響を与えました。

もう一度検索