ヨハン・ペーター・エッカーマン

ヨハン・ペーター・エッカーマン（1792年9月21日 - 1854年12月3日）は、ドイツの詩人、作家であり、特にゲーテとの深い交流を記録した『ゲーテとの対話』の著者として知られています。彼の生涯は、低い身分の家庭に生まれ、貧困の中で育ちながらも、学問と文学への情熱を持ち続けた人物でした。

生涯

エッカーマンは、現在のニーダーザクセン州に位置するヴィンゼンで生まれました。ナポレオン戦争に志願兵として参加した後、ハノーファー陸軍省で秘書として勤務しました。25歳という比較的遅い年齢でギムナジウムに通い始め、その後ゲッティンゲン大学で法学を学びましたが、1年で大学を去りました。

1823年、エッカーマンはゲーテに「詩に対する寄稿論文」を送ったことがきっかけで、ゲーテと親交を結ぶことになります。その後ヴァイマルに移り住み、家庭教師として生計を立てました。彼は、ヴァイマル大公の息子たちの教育にも携わりました。1830年には、ゲーテの息子アウグストと共にイタリア旅行へ出かけますが、アウグストはローマで急逝するという悲劇に見舞われました。

1838年、エッカーマンはザクセン＝[[ヴァイマル＝アイゼナハ大公国]]の評議員に任命され、大公妃の司書という職にも就きました。彼は、1854年12月3日にヴァイマルで亡くなりました。

著作

エッカーマンの代表作である『ゲーテとの対話』は、全3巻からなり、ゲーテの晩年の思想や生活、芸術観を生き生きと描き出しています。この作品はヨーロッパの主要な言語に翻訳され、世界中で読まれています。特に、英語版はマーガレット・フラー版（1839年）とジョン・オクセンフォード版（1850年）が有名です。

ゲーテは、自身の『遺作』の刊行をエッカーマンに託しており、エッカーマンはフリードリヒ・ヴィルヘルム・リーマーと共に「ゲーテ全集」（全40巻）の編纂にも携わりました。エッカーマンの著作としては、他に1巻の詩集『Gedichte』（1838年）があります。

『ゲーテとの対話』

『ゲーテとの対話』は、エッカーマンがゲーテとの会話や交流を記録したもので、ゲーテの人となりや考え方を詳細に知ることができる貴重な資料です。この作品は、単なる記録文学に留まらず、ゲーテの人間性や芸術に対する洞察を深く理解するための重要な手がかりとなります。

日本語訳

『ゲーテとの対話』は、日本でも多くの翻訳が出版されています。初期の翻訳としては、亀尾英四郎訳の春陽堂版（1922-27年）や岩波文庫版（1927年、完訳版1951年）があります。神保光太郎訳の改造社版（1937年）や角川文庫版（1965年）も広く読まれています。その他にも、奥津彦重訳の丁字屋書店版（1948-49年）、ビーダーマン兄弟編の白水社版（1962-70年）、山下肇訳の岩波文庫版（1968-69年）など、様々な翻訳が存在します。また、水木しげるは『ゲゲゲのゲーテ』で、『ゲエテとの対話』を愛読していたことを語っています。

まとめ

ヨハン・ペーター・エッカーマンは、ゲーテの晩年の姿を伝える上で欠かせない人物であり、彼の著作『ゲーテとの対話』は、文学史において重要な位置を占めています。彼の生涯は、貧困から学問の道へ進み、偉大な人物との交流を通じて自身の才能を開花させた、一つの物語としても興味深いものです。

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