ヨルダンの歴史

ヨルダンの歴史：古代から現代まで

ヨルダンの歴史は、古代文明から現代の複雑な地政学的状況まで、長く複雑な道のりをたどっています。その歴史は、様々な帝国や勢力の支配、そして近隣諸国との複雑な関係によって形作られてきました。

中世：イスラム帝国の隆盛と衰退

7世紀初頭、現在のヨルダンは新興イスラム勢力のウマイヤ朝の支配下に入りました。アンマンは当時、重要な都市として発展し、ウマイヤ朝の銅貨には「アル・ウルドゥン（ヨルダン）」という名称が刻まれており、これがヨルダンという名称の最古の公式使用例となります。ウマイヤ朝の後継者であるアッバース朝時代には、首都の移転によりヨルダンの重要性は低下しました。その後、ヨルダンは十字軍、アイユーブ朝、マムルーク朝などの支配を受け、16世紀にはオスマン帝国の版図に組み込まれました。

近代：オスマン帝国の衰退と新たな支配

19世紀に入ると、オスマン帝国は衰退の一途をたどり始めます。ロシアからの亡命者であるチェルケス人がヨルダンに定住し、地域に活気をもたらしました。第一次世界大戦後、オスマン帝国は解体され、ヨルダンを含むパレスチナ地域はイギリスの委任統治領となりました。

トランスヨルダンと建国

1921年、アブドゥッラー1世がイギリスの支援のもとトランスヨルダンを建国しました。アブドゥッラー1世は、アカバなど南部地域の併合を進め、現在のヨルダンの国土の基礎を築きました。しかし、パレスチナのアラブ住民との関係は複雑で、ユダヤ人入植問題やパレスチナの独立運動などをめぐり、様々な困難に直面しました。1930年代にはパレスチナで反乱が起き、アブドゥッラー1世はイギリスと協力してこの問題に対処しようと試みました。1946年、トランスヨルダンは独立を宣言します。

ヨルダン・ハシミテ王国の成立と中東紛争

1949年、トランスヨルダンは国名を「ヨルダン・ハシミテ王国」と改称しました。第一次中東戦争ではヨルダン川西岸地域を占領しましたが、1967年の第三次中東戦争でイスラエルに奪われました。この戦争は、多くのパレスチナ難民の流入をもたらし、ヨルダンの社会構造に大きな影響を与えました。

近代化と平和条約

1990年代以降、ヨルダンは民主化改革を進め、近代化路線を歩んできました。1994年にはイスラエルと平和条約を締結し、イスラエルを正式に承認したアラブ諸国の一つとなりました。しかし、この平和条約や近代化路線への反対勢力も存在し、国内の政治的不安定要因となっています。

まとめ

ヨルダンの歴史は、様々な勢力の支配、近隣諸国との関係、そして国内の政治的・社会的問題と常に隣り合わせでした。古代文明から現代の複雑な国際情勢まで、ヨルダンは独自の道を歩んできました。その歴史は、中東地域の複雑な歴史を理解する上で重要な要素となっています。

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