ヨルバ人

ヨルバ人について

ヨルバ人（Ọmọ Yorùbá）は、ナイジェリア南西部に居住する西アフリカ最大の民族集団の一つです。ナイジェリアにおいては、ハウサ人、イボ人と並ぶ三大民族の一つとして知られています。

居住地域

ヨルバ人は、主にナイジェリア南西部に集中して居住しており、特にエキティ州、オヨ州、ラゴス州、オスン州、オンド州、オグン州では住民の大多数を占めています。旧首都ラゴスをはじめ、イバダン、アベオクタ、オグボモショ、オヨ、イロリン、オショグボ、イフェなどの都市は、ヨルバ人が多数派を占める地域です。これらの都市の多くは、かつてヨルバ人が築いた都市国家を起源としています。

歴史

ヨルバ人の歴史は古く、紀元前10世紀ごろには現在の地域に居住していたと考えられています。ヨルバの伝説によれば、オドゥドゥワという伝説的な王がイフェに降臨し、イフェの王となって、そこからすべてのヨルバ諸国が建国されたとされています。そのため、イフェの王（オニ）はすべてのヨルバ諸国に対して祭祀権を持ち、ヨルバ諸国の王は即位時にイフェを訪れ、イフェの聖王から認証を受ける必要がありました。

ヨルバ諸国は、熱帯雨林やサバンナの中に点在する城壁都市を中心に周辺地域を支配する都市国家群を形成しました。1100年頃から1700年頃にかけて、イフェ王国が栄えましたが、その後、より西方のオヨ王国が軍事力でヨルバ諸都市を支配するようになりました。しかし、聖権は引き続きイフェの王が保持し、聖権（イフェ）と軍権（オヨ）の二重権力体制が確立しました。

19世紀に入ると、オヨの内乱に乗じてイロリン王国が勢力を拡大し、オヨは滅亡しました。難民はさらに南方に逃れ、イバダン王国やアベオクタなどに住み着き、これらの都市が新たな勢力を持つようになりました。1886年には、イギリス王立ニジェール会社軍の進撃によって、ヨルバ人はイギリスの支配下に入りました。

文化

ヨルバ人は、豊かな文化を持つことで知られています。特に、彼らの芸術、音楽、宗教は、アフリカだけでなく世界中で影響を与えています。ヨルバの芸術は、木彫り、金属細工、陶器など多岐にわたり、特にイフェのブロンズ像は非常に有名です。また、ヨルバの音楽は、複雑なリズムとメロディーが特徴で、様々な儀式や祭りで演奏されます。ヨルバの宗教は、多神教であり、多くの神々や精霊を崇拝しています。

現代のヨルバ人

現在、ヨルバ人はナイジェリアの政治、経済、文化において重要な役割を担っています。また、ヨルバ文化は、アフリカ系ディアスポラにも大きな影響を与えており、ハイチ、キューバ、ブラジルなど、様々な地域でヨルバの伝統が受け継がれています。

参考

ジョアン・マノエル・リマ・ミラ「ラテンアメリカにおけるアフリカ系文化」子安昭子、高木綾子訳『ラテンアメリカ人と社会』中川文雄、三田千代子編、新評論、1995年10月。

関連項目

ハイチの国民
ブードゥー教
アフリカ系キューバ人
サンテリア
アフリカ系ブラジル人
カンドンブレ
ボビー・オロゴン
シャーデー・アデュ
ワーレイ - アメリカ出身のラッパー。両親がヨルバ人

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